グレイの手の中で開かれた小箱に入っていたのは、元々は皆均一な形を持っている個体だった。だが実際にそこにあったのは、ひとつに溶け合ってしまったチョコレート。

「うそー!」
「こりゃまた見事だな」

小箱の中で好き放題に流れるチョコレートを見てルーシィは悲鳴をあげ、続いてごめんと繰り返す。受け取ったグレイはと言えば、液体チョコレートを見て何か思い付いたかのような声をあげた。

「ああ、なるほどな」
「え…?」

ルーシィの声を待たずにその手をとったグレイは、そのまま液体チョコレートの中へとルーシィの白い指先を入れた。

「ちょっ!」
「んじゃ、いただくぜ」

ルーシィの唇から声が出るより早く、グレイはチョコレートのついたその指を口に含んだ。舌の上に流れ落ちる味は、甘すぎずなかなか好みだった。

「っっっきゃああああ!」
「声でけぇよ」

舌の上に指を乗せたまま楽しそうに言うグレイ。そんなグレイとは正反対にあわてふためくルーシィは指を抜こうと必死に腕を引いたが、掴む強さがそれを許さない。

「は、はなしてよー!」
「んー」
「いやー!舐め回さないでー!」

顔を真っ赤に染め上げて涙目ながらに訴える、そんな様子すら楽しげに眺めるグレイ。口の中にあった細い指をわざとらしくリップ音をたてながら離すと、ルーシィはもう片方の手で舐められた手を守るような体勢をとった。

「しっ、信じらんないー!」
「なんでだよ、チョコフォンデュだろ」
「つけるものが違うわよー!普通いちごとかでしょ!?」

そんな顔で責められても。擽られる悪戯心を自覚してグレイは小さく笑った。

「グレイの馬鹿!」
「おう、美味かったぜ」
「〜〜〜!」
「つーことでもう一口」

その言葉にルーシィがどうこう言う前にまた拐われる腕。その後液体チョコレートが綺麗に無くなるまで、ルーシィはおいしく頂かれるはめになったとか。


いちごきもち


***
理由:久遠様よりSt.Valentine's Dayを頂戴して参りました◎

チョコフォンデュ…!
ルーシィはさぞかし美味であったことでしょう。
むしろ溶けててラッキーな思いまでして一度で二度美味しい想いできたグレイが羨ましくてならん。

素敵なバレンタインをありがとうございましたーーーっ!!!


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