やっと足が動いたのは、湿っぽい匂いがわずかに鼻先を掠めたからだ。
――泣いている?
その真偽を確かめるだけと決めて、気付かれないよう後を追う。
「……!」
先回りして窓を見上げると、部屋に入ってきたルーシィの目尻は赤く腫れていた。
――何でだ?
次の疑問が湧いてくる。
確かめるだけなんて、性に合わない。
いつものように壁をよじ登ろうとした時、
「お前なぁ」
「グレイ……!」
目標の窓から、嫌な奴が顔を出した。
露骨に不快感を露わにすると、
「それで尾行してるつもりかよ」
「あ?」
「……今日はやめとけ」
訳知りげな一言に、噛み付くのが遅れる。
せっかく息を吸い直したのに、窓はぴしゃんと閉められて――閉め出された。
「やめとけって何だよ。……だったら、お前がルーシィ笑わせてみろ」
届かない声が、なんだか震える。誰もいなくなった窓をきっと睨んで、踵を返した。
***
Absurd Lovers:ゆーく様に我儘言って頂戴致しました◎
Cluck:チェッ
3ベクトル擦れ違いで展開していたナツルグレのようなグレルナツのような何かにこのような素敵もだナツを…!
あまりの素敵さに3ベクトル落ち無しのお遊びだったのに思わず連載にして盛大な擦れ違いでちゃんと完結させようと思ってしまいました。はい。
ゆーくさんだいすきっ!!!ありがとうございましたーーーっ!!!
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