おまけ ◆ あのあとの二人
思惑通りのルーシィからの“treat”――否、本人にとっては“trick”なのだろうが――に、昼間の黒い塊はいとも容易く消え去り、底知れぬ喜びだけが心を埋め尽くした。
「へへっ」
「なっ!なによ変な笑い方して!」
頬を染め不満を露にする彼女を思い切り抱き寄せると、これもまた予想通り耳まで紅く染め上げた。
おもしれー。
「ほんと、今のルーシィは期待を裏切らねぇな〜」
「今のって何!?てか離しなさいよ!」
「ヤなこった。今日は離してやんねぇ」
「はい?意味分かんないんですけど」
「お前、他のやつと全部同じ菓子配ってたじゃねーか」
「へ?」
ここまで言ってもなお理解に達していない彼女の様子に大袈裟に息を吐くと、ナツはルーシィの頭に顎を乗せあからさまに不貞腐れた。
「せっかく俺はお前だけに喜びそうなもん用意してたのによぉ。俺だけなんて理不尽だろ」
「え、そうだったの……ごめんね。で、でも、あたしだって」
――あたしだって、ナツからのお菓子、一番最初に欲しかった。
蚊の鳴くように小さくもはっきり告げられた彼女の意思に、ナツはあの翳りの理由を見つけた。
「おあいこだな」
「そうね」
互いに互いの特別を求めて、すれ違って。
想いが通じた後も変わらないそれに思わず二人で苦笑する。
「ま、いっか。もうルーシィから貰えたもんな」
「何を」
「きす」
「んな!?あああああれは!い、勢いというか、その!ってかあたし何も貰ってない!」
「ああ、ほれ。これ」
「え?……な、なに、これ」
ポケットから取り出したピンク色のそれは、うげろー!と今にも鳴きそうな、どこからどう見てもカエルにしか見えないチョコレート。
「イチゴ味だぞ」
「味じゃなくて!なんでこの形!?」
「だってルーシィこーゆーの好……ぐもっ!!?」
「期待して損したっ!」
渾身の右ストレートを鳩尾で受け止め怯んだ隙にベッドへ逃げ込まれる。
どうやら嬉しくなかったらしい。
……つか、
「今日は離さねぇっつったろ」
うりゃ、と掛け布団をひっぺがして瞬時に潜り細い腰を引き寄せると、随分と不服そうな顔を覗き込んだ。
「食わねぇの?チョコ」
「いらない!」
「あ、食わせてほしいのか?」
「アホか!」
「うぐ」
鳩尾に肘鉄。本日二回目のピンポイントな攻撃はさすがにダメージが大きかった。
痛みに耐えながら「ま、まぁ、でも」と続いた言葉に耳を傾ける。
「あ、明日食べるから、その……ありがと」
「おう!」
「っ、もっ、もう寝るから!寝坊したらあんたのせいだからね!おやすみっ!」
捲し立てるなりぷいと壁側に寝返る彼女に、気付かれないよう頬を綻ばせる。
ああ、やっぱり。
ルーシィは特別だ。大好きだ。
もう一度引き寄せれば先ほどまでとは裏腹に身を任せてくる愛しい存在をすぐ傍に感じながら、ナツは深い眠りに落ちた。
《おまけ・了》
***
Oh, my dear!:みやこ様よりはっぴぃはろうぃん兼10000hits記念に頂戴致しました◎
はろうぃんだからって大量に頂いちゃったv
だってかわゆいふたりがいちゃいちゃらぶらぶしてるんだもん。
仕方ないとオモウンダ。
かえるも…!
エドラスのあれですねvv
何気にあの場面好きだったりするのでなっちゃんの心情がこんな気持ちだったら…とか妄想してによによしちゃいました。
御馳走様でしたっ!
そして、10000hitおめでとうございましたーーーっ!!!
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