ルーシィをベッドへ組み敷いて、ナツはいつも通り人をからかっているかのように笑っている。彼女は事の重大さと燻り始めた期待に、自然と止めていた息をゆっくりと吐き出した。
ハロウィンパーティーと銘打ってのどんちゃん騒ぎは、日付が変わっても延々続いていて。しっかりハロウィンを満喫しきったナツとルーシィが彼女の部屋に着いたのは、勿論真夜中を数時間も過ぎた頃であった。
そう……確かに彼らは笑い疲れて、騒ぎ疲れて、眠気もあいまって、ヘトヘトになって帰ってきたはずなのだ。
だが、これはどういうことだろう。
部屋に入るや否や、彼女は彼に組み敷かれてしまったではないか。
ルーシィは大きい声こそ出さなかったものの、その大きな目をこれでもかと言うくらいに見開いてナツを見上げている。
床に散らばる大量のお菓子とベッドを照らす不気味な満月が、如何にもハロウィンらしい雰囲気を醸し出していた。
「な……に、してんのよ」
そうして彼女が絞り出した声は、本人が思っていた以上に頼りなくて。ナツは小さく吹き出すと、ルーシィの顔を見下ろしながら暫く思案するように唸った。
そして暫く、彼は名案を思い付いたとでも言わんばかりに満面の笑みを称えて言い放つ。
「魔女狩り?ってやつ」
「は?」
「ほら、ルーシィ今日は魔女だっつーし」
「っん、」
魔女狩り。
彼女がその言葉を頭の中で噛み砕くより先に、ナツの唇が首筋に降りてきた。吸い付くというよりは、まるで食おうとするかのように歯を立てられて舐められる。
「それに、魔女って火炙りされんじゃなかったっけ」
縁起でもないわよ、と、抗議のためにルーシィが視線を下ろせば、ちゅ、ちゅ、と胸のあたりで音を立てる桜色の隙間から、己が着ていた黒いワンピースのフリルが覗いた。
そうだ、大きなとんがり帽とこのワンピース、そして黒猫代わりのハッピーをつれていた自分は、確かに魔女になりきっていたのだ。
びくりと体を跳ねさせながら、数時間前の自分を恨むももう遅い。徐々に下がってくる唇を押し返そうと頑張ってもナツに勝てるはずはないし、例え後ずさろうとしても彼女の背は既にシーツで塞がっているのだから。
「ん、う。意味、わかんな……なんで、こんな、」
ずる、衣擦れの音をさせてルーシィは彼から逃げるように悶える。が、魔女を狩る騎士にでもなったつもりなのか、先程までとは違う怪しげな笑みを浮かべてナツは言った。
「観念しろって。魔女は炎に勝てないってことだろ」
理不尽!
勢いよく塞がれた唇とオレンジ色した不気味な満月に、その文句はあっさりと吸い込まれていった。
***
Ms.Perfume:ティアラ様より1周年記念DLFを頂戴致しました◎
魔女を炎で包み込む…なんてえきぞちっくだv
ジャンヌダルクを思い描いてしまいました。
火炙りってことはこの後暑いアツい熱に犯されるってことですね、わかります。
御馳走様でしたーーーっ!!!
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