「―…なによ」

ん、と無言のまま差し出された白い箱。
横に描かれたマークは、とても好きなスイーツ屋のそれ。
中に何が入っているのか。…考えなくとも分かろうというもの。

「やる」

睨みつけたまま受け取ろうとしない事が気に食わなかったのか。
ムッとした表情を浮かべながら再び、ずい、と差し出された。

「………」

ぐし、と手で目元を拭い、ゆっくりと手を伸ばす。
受け取った箱は予想よりも重く、何が入っているのかとそっと開けば。
色とりどりのケーキが、5つ。

「ちょっと、何個買ってきてるのよ」

いくら何でも多過ぎる。
何を考えてるのかと横目で見れば、ひょいと上げられたナツの眉。

「3つはオレのだぞ」
「…は?何よそれ。私の方が少ないってどういう事!?」
「食い過ぎると太るぞ」
「大きなお世話よっ!」
「って事で、お茶」
「あーもうっ!分かったわよ!」

相変わらずのナツの態度に、逆らっても無駄だと腰を上げ、納得いかぬままキッチンへと足を向ける。
早くしろよー、なんて背中から聞こえてくる声にカチンときて。

「なんでこんな時にあいつの分まで用意しなきゃいけないのよ!」

カシャン、と乱暴にカップを並べて。―…ふと、気付いた。

もしかしたら、ナツは。
私の傍にいる為の口実に、自分の分も…?

「まさか、ね」

ヤカンから白い蒸気が勢い良く吹き上がる。
ティーポットにお湯を注ぎながら、少しだけ頬が緩むのを感じていた。


***
Guroriosa:碧っち。様より`元気出して`って御見舞品を頂戴致しました◎

理由なんて言わなくたって側にいたくて。
それでも言葉以外の空間を共有したいって。
そんな微笑ましい気持ちになるナツル。

ゆんへの愛を感じましたv
ありがとうございますー!!


[戻る]

人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -