源田幸次郎くん。 40年間無敗を誇った帝国学園のキングオブゴールキーパー。 私の想い人。 友達に言ったらめちゃくちゃ驚かれた。 「源田君!?いやまあ……かっこいいとは思うけど、でも……」 でも、なんだ。 確かに帝国学園サッカー部にはイケメンが多い。それに強い。 世界制覇を成し遂げた稲妻ジャパンにも、雷門に次いで多くの選手を出している。 佐久間君に不動君。今は雷門にいるけど鬼道君。 その人達が人気の大半を独占している。 あとは主に高等部の先輩に人気の鳴神君とか咲山君とか。 だから源田君はその人たちに次いでの人気なのだ。 「むぅ……」 みんな源田君のかっこよさを全然わかってない。 鬼道君がいない今、チームを一生懸命まとめてるとことか、 時々手作りのお菓子を持ってきてくれるお母さんみたいなところとか、 影で人一倍努力してるとことか、 試合で負けたとき一番悔しそうにしてるのだとか、 シュートを止めるときの真剣な顔だとか、 笑顔になったとき右にだけえくぼが出来るとことか、 「……」 正直ストーカーじみてると思う。 でも好きなんだしょうがない。 源田君は鈍感だ。 今まで密かなアプローチを続けてきたが全く気づかれている様子がない。少しは疑え。 でもライバルが少ないので今までのんびりしていた。 ライバルが少なくてよかったっていつも思ってた。 だけど今思う。もし源田君がこの学校で一番人気だったとしても、私は絶対源田君を好きになる、と。 そうだったらこんなのんびりしてらんない。 よし決めた!今日この日今から。 告白しちゃおう!! 思い立ったが吉日思考の私はすぐさま教室へと走った。 確か源田君は今日日直だからまだいるはずだ。いやいてくれっ。 教室のドアを勢いよく開けると想像していたとおり、堅そうな焦げ茶の髪が見えた。 「源田君!」 「……はっはい!?」 驚いたように顔をこわばらせ源田君はこちらを凝視している。 そりゃそうだ。いきなり走ってきた女がドアを乱暴に開けて名前を呼ぶんだから。 驚くなという方が無理である。 「なっなんだ。お前か。」 私の顔を確認すると、源田君は幾分表情を和らげた。 サッカー部のマネージャーでよかった。よくやった2年前の私っ。 荒れた呼吸を落ち着けるように深呼吸をする。 今から私は告白するんだ。一世一代の大告白。 「源田君。」 「ん?なんだ?」 ああ、やっぱりかっこいいよ源田君。 その笑顔が私には眩しすぎる。 「あのね!源田君!」 あ、どうしよう。いざとなったら緊張してきたぞっ。 だめだ。頑張れ私! 「あの……好きなものはなんで……すか?」 私の馬鹿!!意味不明すぎるよ! ほら、源田君が頭に?マークをいっぱい浮かべてるよ! 「んー。やっぱりサッカーかな?」 真面目に答えてくれる源田君天使! 「あのさ……もし私が恋してるって言ったらどうする?」 「恋?んまあ応援する……けど。」 「それが源田君だったりして?」 「ははっまっさか。冗談はよせよ」 なんて鈍感。正直傷つくよ! こうなったら仕方ない。ええい!腹をくくれ! 「私!源田君が好きなんだけどっ!!」 言った!言っちゃったーーーー! どうしよう。こんなどストレートに言っちゃったよ。 恥ずかしい! 「俺も好きだよ」 え!? 嘘…それって・・・・!! 「大切な仲間だからな!」 …………え? ……ええ? 「去年は雷門に負けてしまったけど、今年こそはフットボールフロンティア優勝しような。一緒に頑張ろうぜ。」 ニッコリ。 そんな表現がぴったりの、太陽みたいな笑顔で源田君は笑った。 うん。笑ったんだ。 「あ、部活遅れるぞ。先行ってるから、遅れないようにしろよ」 じゃあな。って手を振って行ってしまった源田君。 一人取り残された私。 固まる私。 「源田君……」 鈍感だとは思ってたけど……。 まさかそこまで……。 「くっそぉ……」 それでも好きな私はどうすればいいんでしょうか。 悪戦苦闘 困難な状況の中で 苦しみながら努力すること |