マネージャーの仕事は大変だ。茜先輩は基本神童キャプテンを撮ってるし、水鳥先輩は“松風天馬私設応援団”という事になってるから応援が仕事だ。結構無理矢理にそうしている。

だから私と葵が必死になって動いている訳である。今日は私がドリンク係で、部室で全員分のドリンクを作ってカゴに入れ、グラウンドまで手で運ぶ。

これが結構…というよりかなりキツい。


『っあー!終わった…!』

「おー、お疲れ名前!」

『水鳥先輩気楽ー…』


重いのを持った時の条件反射で肩をグルグル回してしまう。あー、本当に重かった。


そんな状態だった私。突然背後から脇腹をツン!と突かれた。


『〜〜〜ッ!!っく…!』

「チッ…何必死に抑えてんだよつまんねーな」

『狩屋ぁ…!』


後ろで意地悪そうに笑ってるのは、狩屋マサキ。私と霧野先輩の天敵だ。


「いつもみたいにでっけー声出せよ。変なヤツ」

『っ狩屋!ドリンクあげないよ!!』

「残念でしたーもう貰ってまーす」

『うぅっ…霧野せんぱーい!狩屋が、狩屋がぁ…!』

「あ、おい!」


負けそうになったら霧野先輩の背中に隠れる。これが一番効果的なのだ。以前狩屋にやられた事を案外根に持ってる先輩は私の味方をしてくれる。

霧野先輩カッコ良い!


「狩屋、また名前の事いじめたのか?」

「いじめた訳じゃないですって。ただ、ちょーっとイタズラを…ね?」

『ね?じゃないし!』


霧野先輩が前にいるから怖くないしね。だってこの人が居れば何もしてこないもん狩屋。


「いい加減にしろと言ってるだろ!名前が嫌がる事するな!」

「…霧野先輩、名前に甘くないですかー?俺悲しー……」

「お前の日頃の行いだろ!」


そう言われた狩屋は勝てないと思ったのか私を睨んできた。でも今の私には霧野先輩が居るからね、大丈夫!

そう思って思いっきり舌を出して「ばーか!」と言った時だった。


「…調子乗んなよ、馬鹿名前」


ちゅっ、という可愛らしいリップ音が聞こえてきた。

あ、キスされたんだ…とわかった時に狩屋は私から離れてニィと口角を上げた。


「やっぱり俺の勝ちだな」

『っ〜〜〜!!』


顔が真っ赤になるのがわかる。コイツ、なんで今…!


「狩屋ァ…俺を間に挟んで何してるんだ?」

「げ…」


霧野先輩から逃げるように此処から離れた狩屋を追いかける先輩。

そんな彼らをまともに見る事さえ出来ない私。


油断、するんじゃなかった…!















油断大敵
油断をすると、
大きな失敗をするということ








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