名前ちゃんと出会って数十年。 名前ちゃんと付き合って五年。 そして、同棲してもう二年が経った。 普通ならもう、婚約をしていてもおかしくないのに、僕たちはまだしていない。 別に僕は結婚をしたくないわけじゃなくて、名前ちゃんとなら寧ろしたいと思っている。 けど、なかなか決心がつかなくて…。 この前、狩屋くんに相談した時なんて「早くしないと逃げられちまうぞ」なんて言われる始末だし。 はぁー…どうしよう。 僕ってこんなに優柔不断だったっけ? 僕は書斎の中にある婚約指輪を見つめ、いつもこう考える。 この指輪を買ってから、もう随分と日が経っちゃってるからな。 「輝くーん……ちょっと良いかな?」 突然のドアを叩く音と、名前ちゃんからの問いかけに驚いた僕は、とっさに「はい!」と返事をしてしまった。 僕は指輪の箱を、急いで机の中に入れようとしたけど時遅し。 名前ちゃんにばっちりその存在を見られてしまった。 けっこう名前ちゃんは勘が良いから、多分気づいちゃってる。 僕が持っている指輪は何を示してるのかって。 ……この際、この勢いにのってこのままプロポーズもありだよね。 うぎー!!当たって砕けろだ!! 「名前ちゃん!!ちゃんと聞いてね」 「う、うん……?」 「ぼ、僕と結婚してください!!」 あ、ついに言っちゃった。 名前ちゃん、驚いて目が点になっちゃってるし。 これは撃沈確定かな……。 「輝くん」 「何……?名前ちゃん」 「こんな私ですが、宜しくお願いします」 「い、良いの!?僕なんかで」 「輝くんだから良いの」 ―熟慮断行。 あの後、何故僕の事を呼びに来たのか聞いてみると、?狩屋くんから電話がかかってきた?らしい。 何でこうタイミングが良いんだろう。 熟慮断行 よく考えた上で、 思い切って行動すること |