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白く豊満な乳房が、皇毅の眼前で誘う様に揺れる。
彼の手を持ってしても余りあるそれを強くわし掴めば、薔嬌は甘い嬌声を上げた。


『あああぁぁ!』


親指で押される胸の頂がジクジクと痛む。
下から突き上げられる感覚は久しぶりで、これを求めていたのだ、と薔嬌は自らも腰を振り始めた。


『あぁ……ッん…ハァ…』


寝台の反動でより深く繋がり、子宮口に当たるたびにキュキュと膣内(なか)が締め付けられる。


(相変わらず、快感を得るのに余念がないな)


眉間に皺を寄せ、彼女の柳の様な腰から肉付きの良い尻へと手を滑らせる。
持上げる様に、撫で回す様に触れれば、薔嬌が嬉しそうに笑った。

もっとして、と耳元で囁く声に、皇毅は身体を起こしてさらに強く腰を突き上げる。


『いいッ…ん、気持ち、い…!』


珍しく声を荒げて甘い声を上げる。
気持ちイイと正直に告げる姿に、柄にもなく皇毅の雄はグンと肥大した。


『あぁっ…お、きぃ…はぁ、アッ…』


カリッと皇毅の耳の噛み付き、身体を支えていた足を彼の腰に巻きつける。
体勢が変わり、さらに深く繋がった。

ズリュ、と水音が大きく響き、動きと共に薔嬌の淫水が二人の恥毛を濡らす。
薄暗い寝台の中でも灯りにあてられ、テラテラと光る蜜。

薔嬌が感じている様に、皇毅もまた沼の様な快楽に絶頂を予感する。

首に回されていた彼女の腕を解いて寝台に貼り付け、結合部分だけが薔嬌の身体を支えていた。
ガンガンと荒々しい腰使いに、それまで緩やかに得られた快感は一気に増した。


『あッ、あん、あアあぁ―――ッ!』


何度か強く打ち付けていれば、薔嬌は大きく身体を震わせて達した。
蠢く膣内に抗う間もなく、皇毅は精を解き放った。


――薔嬌…


『ッ!!』


耳を掠めたのは皇毅の声か、それとも――。

分からないけれど、皇毅ではないと薔嬌は思った。

考えれば何故か胸が苦しくなった。
ツキンと痛む胸が、息苦しくなってきた。

この行為が自分にそうさせているとでもいうのかと問いかければ、もっと苦しくなった。


(何故…?)


この痛みを、彼女は知っていた。

初めて“彼”と身体を重ねた時から、ずっと感じていた。
そして、今の今まで無視を続けてきた。

いや、もっとずっと前から――。


(華眞様…)


そう胸で囁けば、胸が痛むと同時に温かい何かが広がるはずだった。
けれど、今は痛みが広がるだけ。

自分の心の奥底にいた人が消えてしまったというのか、と薔嬌は愕然とした。

誰か別の男が、自分の中に入り込んだのだ。
そう思えば、脳裏に浮かぶのはただ一人。


灰色の鋭い眼差しで己を見つめる――。


思い浮かべて頭を振った。
違う、違うと言い聞かせた。

彼に惹かれる要素がない。
優しさの欠片もない彼の行為に、どうしてほだされなければならない、と必死で自分に言い聞かせる。

けれど、否定すればするほど、胸から込み上げて来る何かが溢れてきた。
ギュッと瞳を閉じれば、何かが頬を伝う。


(ああ……なんてことッ…!)


知りたくなかったのに。
知らないでいたかったのに。

とうとう知ってしまった己の心。


(男なんて信用できない
男なんて、男なんて――ッ!)


零れ落ちる涙を隠そうと、皇毅の首に縋った。
どうした、と問う彼に何でもないと告げて、耳元に唇を寄せる。


『まだよ……もっと、もっとよ…』


甘い声で強請り、中にいる皇毅の雄をキュッと煽った。

快楽を求めて。
ソレだけが、彼女の心を慰めてくれたから。







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