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クチュ…、チュ、ピチャ…


『ッ…ん、はァ…っンん…』

「…は…ッ…ハァ…ッ!」


――シュッ、シュル、パサ…


甘い水音。

乱れた吐息。

絹の擦れ合う音。


暗い室に響く音たちは、互いに競い合い一層艶やかに共鳴しあう。
だが、艶めいた音に甘さはなく、それが一層淫靡なものに聞こえた。

襦袢姿に剥かれた薔嬌の袷を、弄る様に皇毅は暴いていく。
彼女はただそれを受け止めるだけ。

変わりに、皇毅の首に回されていた腕がそっと項を伝う。

ピクッと一瞬、小さく彼は反応した。
けれど、シュルという音と共に背に落ちた髪に気付き、また口付けへとのめり込んでいく。

彼の気性を現したような真っ直ぐ中身を、薔嬌は満足げに背中で撫でる。
昔と変わらない手触りに、どこか安堵していた様にも思えた。

口付けは一層深くなり、そのまま寝台に倒れ込む様に薔嬌を押し倒す。
ギシと軋む寝台が、いつもと違うと悲鳴を帯びていた。


ずっと一人寝を続けていたのだろう、と薔嬌は思った。
愛する姫を失った彼は、きっと二度とこの寝台で誰かを抱く事はない。

本人もそう決めていたはずだ。

けれど、思いがけず己が“ここ”で彼に抱かれた。
そして今また、彼に“ここ”で抱かれようとしている。

それが可笑しかった。
ナニに対してなど分からないけれど、可笑しかった。

そしてそれすらに気が付かないまま、薔嬌は皇毅との情事に身を投じた。










柔らかな恥毛を鼻でかぎ分け、桃色の花唇を舌で愛撫する。
ベロリと一撫ですると、ヒクリと薔嬌が反応した。

また一撫ですれば、くぐもった小さな声が聞こえた。
おやとばかりに視線を向ければ、声を抑えようと必死に口元に手を宛てていた。

バチっと視線が絡み合う。

ニヤリと目だけで笑えば、カッと薔嬌の頬に紅がさす。
こういった恥じらいを持っていたのだと今更ながらに知った。

あの頃は自分が溺れてしまって、彼女がどういう風に感じていたかなど確認する間もなかった。

別にこの女を気持ちよくさせたいとは思わないが、やはり気分はいい。
ニタリと笑い、視線を合わせたままゆっくりと花唇に舌を這わした。


『あぁ!…ッ、ふ…ん…』


甘い声を上げる彼女に、知らず知らずのうちに皇毅の方も魅入っていく。
この女のこんな表情を見れるとは――と、変な満足感で満たされていた。


舌を出し入れして。

時には吸い上げて。

小さな蕾を指で押し上げて。


気が付けば、夢中になって彼女に奉仕していた。
ピチャピチャと音を立てれば、薔嬌は蜜を溢れ出しながら快楽を享受する。

内股の震えが、彼女の絶頂が近い事を教えてくれた。
そろそろか、と三本の指を押し入れて中でグチャグチャとかき回す。

乱暴にされると一層感じる事を、皇毅は記憶の片隅で覚えていたのか。
それとも単に彼の気性なのか。

愛撫とは言い難い乱暴な指遣いと蕾への愛撫で、薔嬌は一度目の絶頂を迎えた。


「多いな……随分溜まっていたんだな」


コポッ、と音を立てて抜き出した指と共に、淫水が溢れ出てきた。
指を伝うソレを、見せ付ける様に舌で舐め上げる彼を、薔嬌はぼうっと見つめた。


「清雅では物足りなかったか?」


ニヤリと笑いながら問う皇毅に、薔嬌は苛立った様に眉根を寄せた。
何故お前にそんな事を問われなければならない、とばかりに。


『あなたには関係ないわ』


ぶっきらぼうに告げる彼女を、物珍しそうに見つめる皇毅。
そんな視線を向けられるのが嫌で、薔嬌は身体を起こした。

グイと強く押し倒し、彼の腰の上に跨る。
ナニをしようとしているかなど、分かりきっていた。

ただ、清雅の事を聞かれるのが嫌で、それをはぐらかそうとしている彼女の姿が滑稽に思えた。


(あの華薔嬌がな…)


クツクツと声を押し殺して笑うと、ゆっくりと己の雄を飲み込んでいく薔嬌を一瞥した。







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