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口付けを強請る様にそっと顔を近づけ、それに答える様に清雅は唇を重ねる。
自分から重ねる口付けというのが、受身のときとはこれ程違うのか、と清雅は瞠目した。

けれど、柔らかな唇は食めば食むほど離し難い。
いつの間にか貪る様に彼女の唇に吸い付いていく。

薔嬌が己にした様に、緩急をつけながら唇を吸い、舌を絡め、時には名残惜しそうに離して。


『…ッ、ん…はァ…ッ』


気付けば薔嬌の呼吸も少しずつ乱れていき、身体中に言い知れない満足感が満ちていくのがわかる。
先程まで己を押し倒し、何食わぬ顔で己の雄をくわえ込んでいた女を、今度は己が乱している。

その分己の息も切れ切れとなっているが、それでも清雅は嬉しさを隠し切れなかった。


もっと、もっと乱したい

もっとこの女の顔を歪ませたい!



初めて抱く欲は、意外にもすんなりと清雅は受け入れられた。
それはきっと、相手が彼女だから。

きっと彼女だからこそ屈服させたいと思った。
だから女として求められたのかもしれない。

清雅にとって、女を抱くと言う事は屈服させる事になりつつあった。
けれど、華薔嬌は高々十八の小僧に翻弄できる女ではない。

口付けに夢中になっていた清雅の手を取り、己の胸へと重ねる。
物足りない、とも取れる行為に、清雅はバッと唇を開放した。


「ッ…!」

『口付けだけでわたくしを翻弄できる、と…?
まだまだですわね』


そう言って、シュッと音とともに腰紐が解かれ、今しがた清雅が触っていた胸も露となった。
豊満で、柔らかくて、白くい乳房と、ほのかに香る香がクラリと脳髄を刺激する。


『…さあ、どうぞ?』


促す様に清雅の手をとって、再度己の露となった乳房に重ねる。
朱鷺色の胸の蕾が少しだけ芯を持ち始めているのが分かる。

けれど、感じる事を翻弄されるとは思っていない薔嬌は、何事もなく表情はそのまま。
早く、と強請る様に、今度は彼女の方から唇を重ねてきた。

掌で包み込まれた頬が熱を帯びてくる。
彼女が触れた唇が渇き、潤いを求めて舌を絡ませようと咥内を求める。

淫靡(いんび)なその身体を堪能したくて、乳房に重ねていた手に力を込めて持ち上げる様に弄り始める。
直ぐに蕾が固い芯を持ってプクリと膨れてきた。

指で押して、弾いて、摘んで。
それを繰り返していけば、重ねていた唇を離されて耳元で囁かれた。


“上手よ、清雅…”


擦れた声で吐息と共に囁かれた言葉に、清雅はゾワリとした甘い疼きに襲われる。
まるで子供の様な扱いにむくれる。

それでも、彼女の身体を求めてしまう辺りが、“少年”らしいのかもしれない。
要所要所で、薔嬌は清雅を子ども扱いしてはむきにさせて煽る。

気が付けば、彼女の身体をもっともっとと貪る事となっていた。





「ッ…あ、あぁ…くッ…!」


ギシギシと軋む寝台。
しどけなく寝台に横たわる薔嬌の身体を、貪るようにして清雅は己の雄を打ちつけている。

始めはぎこちなさを隠せなかった腰の動きは、今では随分と上手くなっている。
それでも、彼女を翻弄させることは出来ない。

今も、吐精をギリギリまで我慢している清雅をとっくりと笑みを深めて見上げている。
時折、腰をくねらせたり口付けをしたりと、余念がないあたりが経験の差だろう。


「…あぁ、あああぁぁぁッ」


少し下腹部に力を込めて膣内(なか)を窄めれば、あっけなく白濁を放出した。


(また、だ…)


彼女を屈させるどころか、己ばかりが絶頂を体験してばかりいる。


――何をどうすればいいのか分からない…


女なんか、とずっと思ってきたのに、結局はその女一人満足させることも出来ない自分が酷く滑稽に思えてきた。

清雅の目に、薄っすらと涙が滲んできた。
目の前が涙で霞む。

泣くまい、と必死に涙を抑えながらズルリと己の雄を引き出し、ドロリと零れる白濁が己の負けを示している様に思えて惨めになった。







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