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『申し訳、ございませんッ…』


他の公子とは違う、清苑は大丈夫だという保障はどこにもないのだ。
自分が悪いとわかっている、けれど花王に見捨てられたかも知れないと思うと涙が止まらなかった。

大好きなのに、自分の浅慮な行動で嫌われてしまうと思うだけで怖くなる。
ハラハラと涙を溢す姿にさすがに言い過ぎたかと花王は反省したのか、そっと唇を寄せて涙を掬った。


『花王、様?』


思いがけない行動にパチパチと瞬きすれば、その反動で瞳に溜まった涙が落ちてくる。
その涙をまた唇で拭う。
この時初めて花王の行動を理解した婉蓉は、ボッと音が鳴りそうなほどに一気に首筋まで赤くした。


「ごめん、言い過ぎた」


そう言って両の掌でそっと頬を包み込み込んだ。

影に隠れて花王の表情は伺えない。
その変わりに、彼の唇が落ちてきた。

額に、頬に、鼻に、瞼に。
最後は唇―。


コツンと額を合わせるようにして婉蓉を見つめれば、可哀想なほどに顔を紅くしている。
泣かせたいわけではないのに、清苑と一緒にいたと思うと嫉妬でどうにかなってしまいそうだった。

いっそ目の前にいる少女を、後宮から連れ出して囲ってしまおうか。
雪や月の目にも触れぬよう屋敷の奥深くに閉じ込めて、自分が来るのを唯待つだけに。

自分の物騒な思考に、合わせていた額を離して掌で顔を覆う。
初めて会ったときから美しい少女だとは思っていたが、まさかこんな風にのめり込むなんて思ってもみなかった。


(重症だな…)


『花王様、嫌いにならないで下さいませ
どんなことでも致しますから…だから、嫌いにならないで下さいませッ』


急に黙り込んでしまった花王に不安を抱いたのか、涙を浮かべながら縋りつく。
どんなことでも、花王に嫌われないためならば何でもする。

そんな健気な言葉に、花王は強く抱き寄せた。
もう、離せない。

どんなことがあっても目の前の少女を手放すことなど出来ない。
花王はそう覚ってしまった。


「婉蓉、印を付けようか?」


いったい何の?と首を傾げれば、ぼくのものだという印だよ、と返される。
その言葉でやっと花王の言ってることを理解した婉蓉は震える手できゅっと花王の衣の袷せを握り締めてコクリと頷いた。

膝の上に乗せていた婉蓉をそっと寝台に押し倒し、覆いかぶさるように口付けを落とす。


琵琶の音を聴くだけ。
今夜の逢瀬を誘われたとき、そう心に決めていたはずなのに、思いかけずこうなってしまった。

抱いてしまったらもう手放せない。
わかっていたけれど、もう、何も考えたくなかった。

深い口付けに甘い吐息を溢しながら、花王は婉蓉の真っ白な柔肌に口付けを落としていった。


(婉蓉、ぼくはもう君を手放してはあげられない…)


心でそう呟きながら、婉蓉の未熟ながらも甘い肢体へと溺れていった。









『あ、やぁ…ハァ、ッん…』


たわわな胸を揉み、その中心にある胸の蕾を口に含む。
舌の上で転がすように愛撫を続ければ、婉蓉が甘い声を上げる。

身体の熱を逃がすように息を吐けば、自然と甘い声へと変わっていく。
そんな自分の声が恥ずかしくて、掌でそっと口を塞いでしまう。

それに気付いた花王はそっと掌を手に取り口付け、熱を帯びた瞳で婉蓉を見つめる。


「ダメ、ちゃんと声を聞かせて…」


花王の言葉に恥ずかしさが募り、涙が一筋頬を伝った。
だめ、恥ずかしいという言葉に口元を緩めると、花王はまた胸の蕾への愛撫を始める。








『もう…や、ダメッ…あ、あ!』


胸への愛撫はいつしか秘部への愛撫へと変わっていた。
誰も触れたことのない秘密の泉からトロリと蜜が零れるのを唇で吸い、時には舌を中に入れて蹂躙する。

初めての行為なはずなのに、花王の愛撫で婉蓉の秘部は音を立てながら甘い香りを放つ。


『花王、様…もう、お止めになっ…あん、あァ、あッ…』


誰にも見せたことのない場所を無理やりこじ開けられ、あろうことか舐められる。
羞恥でどうにかなってしまいそう。

けれども、花王から施される愛撫で、婉蓉の肢体の熱は自分ではどうにも出来ないほど高まっていた。

身体中を巡る甘い痺れで指が動かせない。
そんなことを考えていれば、秘部に指が挿入され、婉蓉の甘い叫び声が室に響いた。







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