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劉輝が清苑の室へと向かった後、婉蓉は一人考えていた。
彼らの出す“答え”について。



劉輝はずっとずっと、いつもいつも待っていた。
春も、夏も、秋も、冬も。

季節がめぐるなか兄を待ち続け、時を感じることなく待ち続けた。


ただ劉輝の傍で、帰って来ない、と告げられずにずっと婉蓉は傍にいた。
その姿が余りにも健気で、ずっと告げられなかった。

いつしか、自分から会いに行こうと、劉輝は口にする様になった。


待つだけではなく、自分から行動を移す様に――。


それが嬉しかった。
けれど、彼の小さな願いは霄宰相によって握りつぶされた。

兄上が王になったら、といつも劉輝は彼女に言っていた。
きっといい国を造ってくれる、きっと二度と王位争いなど起こらない平和な国を造ってくれる。

だから自分は傍で手伝えるように、とそう言って毎日の様に府庫に通って、邵可から教鞭を受け続けた。


それを――。


王になろうとも劉輝の願いが変わる事はなかった。
それは傍で見守っていた婉蓉が一番理解していた。


それが変わりつつあったのは秀麗が来てからだった。

清苑兄上を玉座に――その願いが変わる事はなかったが、願いの強さが変わった。


王でなくては秀麗は傍にいてくれない。
それを知った劉輝は悩んだ。


秀麗と清苑。

どちらを取るか――。


悩んでも答えが出る事はなく、それでも勉強を惜しむ事はなかった。
王であっても清苑が返ってきても、どちらでも大丈夫な様に。

邵可との勉強に絳攸の講義が加わって、毎日秀麗に隠れるようにして陰で勉強を続けた。

その姿がなんとも健気で、婉蓉の方が泣けてきてしまった。
だから、王がどんな答えを出そうとも婉蓉はよかった。


ただ――彼がここに戻る事はない、という確信だけが胸にあった。



To be continue...


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