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『…ッ…う…ぁッ…』
吐き気がする、気持ちが悪い。
そう思いながらも、男たちに腕を押さえられて抵抗すら出来ない。
助けを呼びたくとも、口にはめられた猿轡は彩月から助けを呼ぶ声すら奪った。
声にならない叫び声は、彼女の身体の内を幾度も駆け巡る。
キッと己の上に跨る男を睨み付ければ、男はニタリと笑った。
「嫌がってる割には身体はよがってるぜ?」
へへ、と唇を舌で舐めまわす男の言葉に、彩月の眉間の皺が一層深くなる。
男の言うとおりだった。
施される胸への愛撫に、トロトロと蜜を滴らせる下の泉。
嫌なのに、勝手に反応する己の身体が憎くて仕方がなかった。
何故。
どうして。
何度も心の中で叫んだ。
何故この様な仕打ちを受けなければならない、と。
“ココ”に来てまで、再びこんな行為を強いられるのか、と――。
『…ッ…うぅ…ッぐっ…』
獣の呻き声のような唸りが上がった。
暗闇で相手に悟られないが、それは間違いなく彼女の鳴き声。
『…うぅ…っ、くッ…うぅ…』
揺さぶられる度に身体に快楽が走り、心とは裏腹に身体は悦に浸る。
そんな身体とは切り離した様に、彼女は延々と呻き声の様な泣き声を上げ続けた。
――殺してやる…
淫らな水音と男達の荒い息が満たす中、ゾワリとする様な禍々しい声が響き渡った。
それまで、彼女の身体を貪り続けていた男たちはピタリと静まりかえる。
もう一度、声が聞こえた。
今度ははっきりと、声高々に――。
殺してやるッ!!
瞬間、男達の四肢を強くナニかが締め上げた。
――彩月の髪である
長い髪が意思を持つ様に、男たちを逃がすまいと伸びていく。
身の丈をゆうに越し、まるで蛇の様にズルズルと地を這うソレは異様な様。
その様に、髪が動くという事実に、男たちは恐れをなして脅え惑う。
「ひいいぃぃぃぃぃ!!!」
「なんだ、これ――ッ」
「おい、戸が…ッ!!」
逃げようとする男たちだが、戸は開かない。
聞こえてくる声に、身体を這うナニかに脅えながらも、男たちは逃げ出そうと必死である。
けれど、そんな男達の必死な抗いも虚しく、彼女の髪はさらに強く巻きつく。
喉元に掛かった髪は容赦なく男たちを締め上げた。
“許すものか、絶対に……
絶対に許してやるものか――ッ!”
己を穢そうとした男たちへの恨み、憎しみがヒシヒシと伝わってくる。
けれど、男たちは自らの行動ゆえとは思わないだろう。
今は己の事すらままならず、苦しむだけ。
そして―――…。
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