Girls


荷解きを一通り終え、まつりの提案で隣の部屋に挨拶をしに行くことに。ユエとまつりの部屋は角部屋なので、隣は一室だけなのだが。

"七海 春歌"
"渋谷 友千香"

ネームプレートにはお隣さんの名前。

「ユエちゃん、いくよー」

まつりの合図に笑顔で頷く。

(仲良くなりたいな…)

−…コンコン

「はーいっ」

中から聞こえたのは良く通る澄んだ声。扉が開くと現れたのは、真っ赤な赤髪に、キリッとした涼しげな目元が印象的な少女だった。

(わっ…また美人さんだ)
「えーと?」
「ご挨拶に来ましたーっ!隣の部屋の住人ですっ」

ピッと敬礼をするまつりを見て面白そうに友千香は笑うと部屋の奥からもう一人の住人、春歌を呼んだ。

「春歌。隣の部屋から挨拶に来てくれたんだって」
「わぁっ…すみません。来ていただいて」
「いーえっ勝手に押し掛けちゃったもん!えーと、十村まつりといいます!アイドルコースだよっ!よろしくね!で、もう一人が…」

まつりに腕を引かれ、ユエは春歌と友千香の前に一歩出る。予めスケッチブックに書いていた、自己紹介を二人に見せた。

『月村ユエといいます。作曲家コースです。よろしくお願いします』

スケッチブックに書かれた文字を見て驚く2人にまつりはユエの代わりに説明をする。

「ユエちゃんね、声が出せない病気なの。だから、普段はこうやってスケッチブックでおしゃべりをしています」

ね、と心配ないよと言う風に優しく腕を組んでくれるまつりがユエはとても頼もしく感じた。

「なるほどねぇ…大丈夫!!そんなの全然気にしないよ!困った事あったら直ぐ言うのよ?」
「わ、私も何でもお手伝いさせていただきます!頼ってください!」

そう言い、にっこり笑ってくれる友千香と春歌にユエは胸が暖かくなるのを感じる。

この学園優しい人達が一杯…早乙女さんに誘ってもらえて本当に良かった…

「じゃあ次はお二人の自己紹介が聞きたいなぁーっ?」
「はいはい。渋谷友千香アイドルコース!!目標は歌も演技も完璧なアイドル!よろしくっ!!」
「え、えと…なな七海春歌です!作曲家コースです……あああの!!月村さん!!!」

自己紹介してくれたと思ったら、春歌は顔を真っ赤にしてすごい勢いで捲し立てる。その勢いに若干引きながらユエは首を傾げた。

「に、入試の日…転んだ所を助けてくださってありがとうございましたっ!!」

そう言って春歌は勢い良く頭を下げた。突然の事に何の事か分からなかったが、雪に足を取られ転んでいたピンク色の少女を思い出す。

「わ、私ずっと月村さんとお友達になれたらって思ってて…」

思ってもみなかった申し出にユエまで赤面する。そんな風に思われているのは予想外だった。

『こちらこそよろしくお願いします。春歌ちゃん』

スケッチブックを見せると春歌は嬉しそうに満面の笑みを見せた。

「なんなのアンタ達可愛いわね。ユエ、私とも友達になってよ」

友千香に手を差し出され、ユエは嬉しそうに握手をする。

「てかてか!ユエちゃんも七海ちゃんもいつまで敬語なのぉー?まつり皆とタメで話したいよっ」
「そうね。あ、あたしの事は友千香でいいから。ユエとまつりって呼ぶけどいい?」
「あ、じゃあ私も…ユエちゃんとまつりちゃんって呼びま…よ、呼ぶね」

新しく増えた友達にユエはふわりと笑って答えた。




(か、可愛いですぅ…)
(この子やばいわね…見たことないくらい可愛いわ)
(やーっぱりユエちゃん超かわいいーっ!!!)



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