「雪」


小さく僕が呟いた言葉に反応して隣に寝転ぶ彼が小さく呻く。そういえばもう直ぐ12月25日ですねぇとぼやいたことには興味を示さず窓とは反対の方向を向いて仕舞った彼の髪をぐいと引っ張って非難の眼差しを非難すべく此方を向いた頬を力を込めてつねる。人間全力投球が必要ですよとぎゅううと引っ張ると不意に服の襟を掴まれて仕返しと言わんばかりに強く引っ張られ体勢を崩した拍子に彼の頬から手を離して仕舞った。ぼふっと先程まで背中まで預けて居た未だぬくもりの残るベッドに逆戻りしたかと思うと彼が僕の上に体重をかけて体をその細いくせにやたら力の有る腕でぎゅうと抱き締めてきたから苦しくてでも少し嬉しくてでもやっぱり苦しくて離せと肩を押すけれど離す気配など一切なくて仕方無く其れを甘受する。道理で冷える訳ですねぇとひとりごちると冬は晴れた日より雪の日の方が暖かいんだよと彼が珍しくまともな返答をしてきたから嬉しくなってでもやっぱり寒いのは冬だからですよねぇと返事をすれば彼は其れは当然だろうと僕の頭をくしゃと撫でた。


「イド 夜は散歩に行きましょう」


「寒いと言ったのは君だ」


「だって見たいんだよ ふふふ」


頭の上に分かりやすくクエスチョンマークを浮かべる彼に今は流星群の季節なのだと告げると嗚呼そういえばそうだったねと笑ったからもう一度散歩に行きましょうと誘うと嗚呼分かったよと返事が返ってきて嬉しくて彼を僕の全力投球で抱き締めると苦しいから離せと彼が体を浮かせるからさっき僕も言ったのにと口を尖らせると瞼に口付けを落とし彼は美しく笑ったのだが其の笑顔の美しさときたら!きらきら輝く夜空の女優達の中でもより一層光を放つ儚げな美しき流星に似たような笑顔だと僕は思いながらとびきりの笑顔をまた僕も彼に向けるのでした。嗚呼僕の美しき愛しき人よ!その美しき女優の様に儚く散る事勿かれと切に願うのでした。









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