桜=気持ち

 
 
 
ひらひらと桜の舞う季節。寒かった時期も過ぎ、太陽の光が温かくて心地良い。そして只今、ヴァリアー幹部揃ってジャッポーネで「オハナミ」中なのです。





「うお゙ぉぉい!!酒持ってこい酒ぇ!!」
「うっせぇドカスが…」


かなりの範囲をヴァリアークオリティーで確保し、お団子にお酒に…と初めはかなり落ち着いた雰囲気だったんだけど…まさかのスクとボスが酔っ払うという前代未聞の問題が発生している。ルッスは少ししか飲んでないし、ベルも酔っ払うまでは飲んで無いはず…フランと私はまだ未成年だしね。…あれ、誰か忘れてる…?いや、全員居るか…。だって変態雷親父はアジトで留守番係りだからね。


「うわー、ミー酔っ払い嫌いなんですけどー…」
「私も苦手だなー…」


フランとオレンジジュースを飲みながらその様子に苦笑を浮かべる。ルッスが宥めに入ってくれてるけどボスは酒瓶でスクを殴ってるし…。まさか日本酒5本でこんなに酔っ払うとは誰も思ってなかったよ。丁度ジュースを飲み終えてペットボトルへと手を伸ばせば、後ろからズシリと乗っかられた。


「名無し………」
「え、ベルっ…!?」

首元にあるベルの服から甘い香りがする。あー…ベルの匂い落ち着く…じゃなくてっ!!ベルもしかしなくても酔っ払ってる…?ふんわりと漂うお酒の匂いが鼻にツンとくる。うあ…鼻が痛いぃ…。ていうか、フラン助けろよ。何で何も見てません的な態度でオレンジジュース飲んでんだよっ…!!

「シシッ……」
「うわわ…ちょ…ベルっ…!」

そのままドサリと前のめりに倒れ込む。ちょっとちょっと。ボスとスクは酔っ払っててルッスが宥めてるし、レヴィはお留守番だし…フランは頼りにならんし…。っていやああ!!食われる!!食われるから誰かヘルプ!!!


「名無しの太股ぉ…」
「や、止めっ…ん…!!」
「やらしー声……」
「やだっ…ぁっ…!」


太股弱いんです。止めてください。もう…フランが哀れみの視線を此方に向けてるじゃないかっ…!!早くベルをどうにかしてくれ…こんな大勢の前で食われるなんて死んでもごめんだ…。でも体は正直で…とか言ってる場合でもないの!!!


「ひっ…!」


あぁほら服の中にまで手が入ってきた…。もうダメだ食われ「いって…!」…ん…?なんとも嬉しい事にベルが私の上から退きました。やったね!!後ろを振り向けばナイフを持ったベルに追いかけられてるフランの姿。どうやらやっと助けてくれたらしい。…しかしフランはナイフを投げられてカエルが可哀想な事になってる…。その上ベルは戻ってきたし。


「あンのクソガエルぜってー殺してやる…!!」


ドカリと私の横に座ったベル。そんなやり取りに苦笑を浮かべていれば、ベルの手が不意に頭の方に伸びてきた。何なんだろうと不思議そうに見つめていれば、遠のいたベルの指先には、摘ままれた一枚の花びら。

「付いてた……」
「ん、ありがとう…」

よく見れば、桜の花びらってハートに見えるよね。散ってる様子はハートが降ってるみたいでいいかも。あ、そうだっ!!立ち上がって桜の木の近くに行く。きょとんとしてるベルを横目に、落ちてくる桜を手で受け止めて手の中を桜で一杯にした。落とさないようにベルの元まで戻れば、「それどーすんの?」と問いかけられ、口元に笑みを浮かべて答える。


「私の気持ち、かな」


ベルの上に投げるように手を上げれば、手から溢れ落ちていく桜。そこでやっと意味を理解したベルは、なっまいき、といつものようにシシッと笑みを浮かべて私を引きよせた。

「だったら王子はその5倍くらい降らせてやるよ」
「ん…楽しみにしてる」

小さなリップ音を立てて触れあった唇は、桜の中での誓いのキスにでもしておこうかな、なんて。








ー僕が君に桜(愛情)を降らせて(注いで)あげるから!!ー


(…うわっ!?)
(シシッ、5倍もかけたら花に埋もれてんじゃん)
(いや…これ10倍あるでしょ…)



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