久々にオフの重なった休日。大好きな藍とお部屋でゆっくりとした時間を過ごしている。二人で腰掛けたソファの沈みに身を任せ、藍に体を寄せれば優しく抱き寄せてくれる、そんなめったにない幸せな時間。
藍はアイドルとしての活動が忙しい中、私も作曲家としての仕事が一段落し、今回も何カ月ぶりかの休息である。
勿論初めは出掛ける、という予定も立てていたのだが、前日も日付が変わるまで仕事だった藍に無理はさせたくなく、おうちデートへと変更をした。(藍は別に大丈夫だよ、って途中まで気にくわなさそうだったけど)

「本当に出掛けなくて良かったの?」
「うん、私は藍と一緒に居られたらそれで充分だよ」
「...そう、ありがと」

ふ、と何処か嬉しそうな笑みを零した藍に、元々身を寄せていた体勢から更に抱き寄せられ隙間がないくらいにお互いの体がくっついた。人間のようにとても温かな体温じゃなくても、僅かに感じる温もりで藍が此処に居るんだって感じることが出来る。そんな温もりが心地良くて、ほとんど無意識に藍の胸元に擦り寄っていた。

「そんなに嬉しそうな顔でくっつかれると、ボクだって抑えられなくなるんだけど」

そんな囁きが耳元に降り注ぎ、藍の言葉によって自分のしていたことにハッと我に返った時には遅く、視界がぐるりと変わったかと思えば目の前には藍の顔、それから向こうに天井。つまりはソファーに押し倒されてしまったようだ。

「ちょ、ちょっとまだお昼っ...」
「別に朝でも夜でも関係ないでしょ」
「恥ずかしいから...!」

力の強い藍から逃れるなんてことは出来ないと分かっていても、せめてもの抵抗と脚をジタバタとさせる。別にすることが嫌というわけではないのだが、やっぱりこんな昼間からなんていうのはとても恥ずかしい。
しかしそんな抵抗も虚しく脚も押えられてしまえば、鼻がくっつきそうな程藍の顔がグッと近付き息を呑んだ。

「......名無しに触れたいと思うんだ、その理由だけじゃダメ...なのかな」

何処か寂しげな表情でそんなことを真っ直ぐ言葉にする藍に自分の体温がぐんぐん上がっていくような気がした。そんな表情でそんなこと言われたら、駄目なんて言えるわけないでしょ。

「っ、そんな言葉何処で覚えてきたのよっ...」
「ボクの思ったことをそのまま言葉にしただけだよ」

なんて言われてしまえばもうノックアウト。どうやら私のハートはもう限界で、もっと甘い言葉に埋もれてしまいたいとでも言うようにガンガンと鼓動を鳴らしていた。

「藍のばーか」
「...そんなことも言えないくらい溺れさせてあげる」
「んっ...」

藍からのキスで与えられる甘い波に身を任せ、カーテンの隙間から溢れる太陽の光に照らされながら私は頭からつま先まで藍に染められていった。



(君が居ることで、ボクの生きる意味になるんだ。)





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