コズミックガール | ナノ

01

 午前8時、起床。自室からリビングに降りると、もう誰もいなかった。両親は共働きで、休みの日以外でこの時間帯に家にいることはない。
 ひとつ下の妹がいるが、彼女は姉とは正反対。真面目な子だったが適度にオシャレも覚え、立派なモテガールへと進化している。今はもう、通学に少し時間のかかる進学校へ登校する為に家を出た後だ。

 わたしは超がつくほど近所の、普通レベルの高校、銀魂高校に在学中だ。そこは、朝8時40分からホームルームが始まる。自宅から学校へは徒歩10分程度だ。
 つまりそれに間に合うように、半には家を出なければならない。頭は回らないし、ぼうっとするし、気乗りは全くしない。だが出発時間に間に合うよう、のろのろと準備をしはじめる。

 とりあえず歯を磨く。そのまま顔を洗う。タオルで適当に水分を拭ったらリビングへ。
 部屋の隅に吊られた制服に見を包み、母お手製のお弁当を通学鞄にいれた。なんとなく流れで、朝ごはんに食パンをトーストしたがいつも別にお腹は空いていない。
 何か水分を、と冷蔵庫を開けるとヨーグルトを発見した。甘いバニラヨーグルトだったから、ついつい手に取ってしまう。

 口の中の水分を取られながら、食パンを必死に喉の奥に押し込んでいく。静かな室内の中には時計の秒針が進む音しか響かない。
 ふと時間を気にしたらもう、長針は数字の"5"を指していた。いつも遅刻ギリギリで校門をくぐっているが、急ぐのは嫌いだから慌ててトーストの残りを頬張る。せっかく出したヨーグルトは諦めて冷蔵庫へ戻した。

 身支度の最後はいつも、洗面所の鏡の前でリボンを止める。ふと横の棚を見ると、妹のであろうスキンケアセットとメイクポーチが目に留まった。
 前を見ると、どスッピンの自分の顔が映る。無言で洗面所から出て、教科書なんか入っていない鞄を背負い、家を出る。

「いってきます」

 返事はない。

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