その目が弱みを握るとき Last
 達してから少ししか時間の経っていない体は敏感で、太いそれが擦れるとくすぐったさに似た感覚が駆け巡る。そのせいでゆっくりとしか上下できないわたしの腰を先生が掴んで支え、動きをサポートされた。

「すげー締まってるけど、どう?」

 そんなこと聞かないでという気持ちを込めてその赤い瞳を見やると、先生が初めて余裕なさげに息を吐いた。

「その顔やばいって。目ェ逸らさねーでずっとこっち見て」

 そう言われると幾分か羞恥心が戻って来て、顔をそらしたくなる。だけど先生の手が伸びて来てそれを許さない。

 お互いの息遣いが聞こえるほどの距離感を保ったまま、しばらく腰を動かしていたら、眉を寄せていた先生はまた意地悪く笑う。

「…やっぱ焦らされんのは好きじゃねーわ。主導権握ってたいタイプだからさァ」

 腰を持ち上げられたかと思うと抱きしめられた。肩を抱かれてすぐに離されたけど、耳元で聞こえた熱い吐息が鼓膜にこびりついている。
 床の上に立たされたかと思うと頭を庇われて、食べかけのいちごショートが乗った机へと仰向けで押し倒された。肩に足を引っ掛けられて、入り口を上向けられたと思ったらゆっくりと挿入された。そしてこれまたゆっくりピストンされる。
 先端ギリギリまで引き抜かれたかと思うと深く、奥までやってくる。経験したことのない腰の動きは"の"の字を描くようで、いいポイントを探っているようだった。

 そして、ある一点を擦られたとき、思わず上擦った声が出てしまった。

「…ここ?」

 そこを何度か往復されるとそれに合わせて喘いでしまう。

「ここなら向き変えようぜ」

 あっさり抜かれたかと思うと体をくるりと回転されられる。気がつけば後ろからぬるりと侵入されていて、ただ腰を振られるだけでピンポイントにその場所に当たった。
 正直気持ちよかった。青い学生とは経験値が違うのか中でも十分に感じられた。その合間に他の性感帯もいじられるものだから、もう声は止まらない。

「声、出すぎ。そんなにいい?」

 それを抑えるように開いたままだった口に指が差し入れられる。くぐもった声を出しながら必死に頷いた。
 口腔に入ったままの指を舌でなぞる。なんだかアレをしているみたい。そう思って軽く吸ったら、後ろから声がした。

「そんな舌の動きどこで覚えたんだよ」

 くすぐったかったのか何なのか、唾液で濡れたそれが引き抜かれる。その間にも自分は絶頂を迎える寸前まで追い詰められていた。





「せん、せ、もう、むりっ」

 喘ぎ声以外を出すのは大変だった。その後すぐに大きな声を出してしまって、そうならないようにまた指で塞がれる。

「っ、ここで先生って呼ぶとか…狙ってる? 背徳感やべェ」

 そう言われてハッとしたけど、意識はすぐに快感に持っていかれる。耳のすぐ後ろに先生の熱の籠もった吐息が聞こえてゾクゾクする。



 朦朧とする意識の中で、上がる息とともに吐き出すように言った言葉が鼓膜に張り付く。

「…土方くんの彼女で沖田くんに抱かれたこの体、誰に躾けられてんのか、俺知ってっからな」

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