その目が弱みを握るとき 04
「あれ、鍵閉まってるー」
「銀ちゃん、帰っちゃったかな?」
「でも車は停まってたよね」
「まだどこか校内にいるんじゃない?」

 扉の向こうに人がいる。

 開いてしまうのかと思ったそれは鍵が閉められていたようで、この恥態を見られることはなかった。それでも不測の事態に飛び上がった心臓は激しく鼓動している。

「この準備室の前で待っとく?」
「あ、それは確実かも!」

 高い声は女子生徒のもの。会話から、今自分の下腹部に指を這わす教師を探していることは明らかだった。しかも扉の前で待とうだなんて…自分も目当ての先生がいなければそうするだろうが…やめてほしいことこの上ない。

 声を出したら聞こえてしまう、物音を立てたらバレてしまう。そんな状況下なのに坂田先生はにやりと笑って、わたしの胸の頂にかぶりついた。あまつさえ、空いた指先でその反対側も刺激されてしまう。

「すげータイミング」

 小さい声でそう呟いて、クリトリスを撫で上げるのを再開した。今だけはやめてほしい。そう願って胸板を押し返すけど力は入らない。

 親指で敏感なそこを刺激しながら、指が一本ゆっくりと器用に挿し入れられる。次にはもうその本数が増やされて、上の壁、ざらつきをピンポイントに擦られた。ピストンを繰り返されると溢れ出す潤いのせいで卑猥な水音があがる。
 情けない声が漏れた。もう抑えきれなかった。何箇所も同時に責め立てられて気が変になりそうだったから。

 胸から口を離してもらえたかと思ったら、そのまま口を塞がれる。下唇をなぞられたら我慢できなくて、それを求めるように口を開けた。絡められるのが早いか、自分がそうするのが早いかもうわからない。白衣がシワになるほど握りしめ、必死に貪った。快感が絶え間なく押し寄せ、絶頂へとどんどん登り詰めさせられる。

「そういえばわたし、バイトあったんだ。銀ちゃんにはまた明日会いにくるー」
「うん、じゃあ帰ろっか」

 足音が遠ざかっていく。それを聞くや否や唇が離れていって、栓がなくなった自分の口はもう抑えることなく嬌声を上げる。

「バレなくてよかったなァ、頑張って我慢してえらいねななこちゃん?」

 そうしたら指を抜かれた。乳首を触っていた指ももうそうなっていない。褒めてもらえたのに気持ちよさは止む。どうしてと先生を見たら、ソファから下りて開脚したその真正面へとしゃがみ込んでいた。

 何をされるかわかったけど足を閉じることはしない。

「ほら、もっと足広げろよ。イきてーんだろ?」

 刺激を受けて十分研ぎ澄まされたそれを固くさせた舌先で舐められる。押し潰されて、吸われて、強弱をつけられたらそれに合わせて喘ぐしかない。
 ぬるりと押し入ってきた指がまた、お腹側の壁を圧迫しながら撫でた。腰が抜けそうになるほど気持ちよかった。

 羞恥心なんかもう残っているわけなくて、言われた通りに精一杯足を広げた。焦らされた後ようやくもらえたご褒美は、"気持ちいい"と思わず何度も口に出すほど甘美なものだった。

 一際大きい波が来て、頭が真っ白になる。背中は弓なりに沿って腰が引けたけど、寄せられた唇は離れないし指も動かされている。長く続いた余韻に腰がガクガクした。そのまましばらく与え続けられて、最後はやめてくれるよう懇願するはめになった。

「もうやめんの?」

 ちゅ、と弾む音を立てて離れた唇は不満げに言葉を紡ぐ。やれやれ、といったふうに指を引き抜かれるだけで小さく呻いてしまった。

「ななこちゃん」

 低い声で呼ばれて、前へ枝垂れさせていた首を持ち上げる。閉じていた瞼を押し上げると、まだ自分の前にしゃがみこむ先生の姿があった。
 やらしく口元を光らせて、糸引く指を赤い舌で舐め取っている。そんな光景を見せられて、ごくりと喉が鳴った。

 わたしを優しく抱いた土方くんも辱しめた沖田くんも色っぽかったけど、大人の色香、とでもいうのだろうか。余裕ありげにこちらを見上げる先生は妖艶という言葉がぴったりだった。

「何へばってんの。俺まだ満足してねーよ?」

 おもむろに立ち上がって金属音を立てながらベルトを外している。自分はというと下ろすファスナーの後ろ、確かに主張するものを収めたボクサーパンツに目がいっていた。すぐ隣に腰を下ろした先生は、わたしの脇の下に手を入れて自分の上に跨がらせる。

「あんだけ気持ちよくしてやったんだから頑張れるよな? ほら、スカート持ち上げて、ちゃんと見えるように」

 達したばかりで力が入らず、先生の肩を掴んでバランスを取っていた。だけど片手を取られて、プリーツスカートを持ち上げるよう強要される。裾をたくし上げたら満足したように笑っていた。

 腰を掴まれて引っ張られたら、入り口に熱いものが当たった。重心を下げると、濡れてすっかり慣らされたそこはすんなりと先生を受け入れる。根本までぴったりと咥え込む頃には、反り返るものにビクビクと体を震わせてしまっていた。

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