その目が余裕をなくすとき 04
「締まりいいじゃねーか。土方、あんなスカした顔して童貞だし持たなかったんじゃね? ぷぷ、爆笑」

 適当に指をピストンさせながら「どうすっかなァ」と呟く沖田くん。こちらはというと触ってほしい箇所から外れてヤキモキしていた。

 硬派な土方くんとは違ってたくさんの女の子を相手してきたであろうこの人は、こんなにも手慣れているのだからきっと、キチンと触れてくれさえすれば中だって気持ちいいんだろう。
 だけど本人からはそうする気配が感じられない。ただ具合を確認しているだけのようで、圧迫感だけが右往左往する。

「よく考えたらお前とヤったら土方と穴兄弟になっちまう。しかも土方の後とかなんか気色悪ィし」

 籠もる熱を吐息に含ませがら気を抜いていたら、思い出したかのようにクリトリスをいじられた。それだけで頭にびりびりと電撃が走るみたいだった。情けなく喘ぐ私を見下ろして沖田くんは意地悪く笑う。

 馬鹿になるってこういうことか。最初は感じるまい、声は出すまいと考えていたのに今じゃもっと触って欲しくて、…イきたくてが仕方ない。

「イきたくて仕方ないって顔してまさァ。あ、さっき寸止めしたからか」

 こちらの心境を手に取るように察する彼はふと手の動きを止め、また何か思いついたように笑みを深める。

「そんなにイきてーなら自分でしな」

 乱暴に腕を引かれて上体を起こすしかなかった。ぺたんとコンクリートの上に座り込むと、ひんやりとした冷たさが舞い戻ってくる。
 手首を固定していたベルトがすんなり外されて、ほら、と促されると無くしていた羞恥心が戻ってきた。そんなこと今までしたことない。なのに人の目の前でなんて…、嘘でしょう。

 躊躇っていると、沖田くんが自分の背後に回った。ぴったり体をくっつけて、立てた腿が力の入らないわたしの体を支えてくれる。ベルトの跡が残る手首を掴まれたかと思うと、それは下半身へと持っていかれた。振りほどこうとしたけどそれは叶わない。

 自分の指先が熱いそこに触れる。

「手伝ってやるよ」

 大きな手が重ねられた。すっかり慣らされて濡れそぼった突起は掠めるだけで気持ちよさを感じた。

「ほら、気持ちよくなれやすぜ?」

 鼓膜を震わせる、甘い囁き。背筋がゾクゾクした。指先を押し付けられる。彼に誘われるように軽く動かすだけじゃ弱々しい刺激しか来ない。羞恥心のおかげで残っていた理性はぶちぶちと千切れていく。

 だってこうすれば気持ちのよくなれるんでしょう? ーーーやがて自分の意思でそこを撫で回す。焦らされて、ずっと刺激を待っていた。起爆剤を仕込まれてそれが発動したらもう、止まらない。

「な、簡単だろ?」

 あとは喘ぐだけ。

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