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E組に入って初めての中間テストまであと一週間と迫った日曜日、紗良は約束通り学秀と勉強会をするためにとあるカフェへと来ていた。

「……」

学秀は待ち合わせ場所に現れた紗良と、呼んでいないもう一人の人物を見て無言で顔をしかめている。

「え、えっと……今日はよろしくね? 学秀君」

「よろしくー浅野クン」

当たり前のようにやってきてへらっと笑ってよろしくなどと言うカルマに、学秀は怒りをあらわにする。

「何がよろしくだ、赤羽!! どうして君がここにいる!?」

「紗良から浅野クンと勉強会するって聞いたからさー。俺も行かなきゃと思って」

「どうしてそうなるんだ!」

「それに、紗良も俺に是非来てほしいって言うし?」

「なっ!?」

紗良は学秀と目が合うと、少し申し訳無さそうに苦笑いをした。

「えっと……色々あって、カルマ君も呼んだの」

「……」





時はさかのぼり、2日前。

「え、日曜に浅野クンと会う約束してんの?」

学校の帰り道、紗良は集会の時に学秀に勉強を教えて貰う約束をしたことをカルマに話した。

「うん。もうすぐテストだから、勉強見てくれるって」

「えー勉強なら俺が教えるのに。っていうか、大丈夫なの?」

「……? なにが?」

「まーたE組のこと、何か聞かれるかもよ」

そういえば集会の時、殺せんせーの手書きプリントを見られE組について学秀に問い詰められたことを思い出した。

「う、それは困る……」

「ね。っていう訳で、俺も一緒にいくよ」

カルマの提案に、紗良は少し目を丸くする。

「え! カルマ君も来るの?」

「紗良一人だと、国家機密バラしちゃいそうで心配だし」

「カルマ君が来てくれるなら、心強いけど……」

「じゃー決まり。あ、俺が行くことは浅野クンにはナイショね。面白い顔が見れそうだから」

そう言って楽しそうにイタズラな笑みを浮かべるカルマを、紗良はどうすることも出来なかった。
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