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「あ! アミー! やっと帰ってきたのサ!」
「ん?」
宇宙船に戻ってくると扉の前で誰かが立っていて、
少し怒ったような声でそう言われた。
それにしてもなんだか見覚えのある………………
「あ、マルクだ!」
「げ……カービィ。メタナイトも……」
ああそうだ、マルクだった。
「昨日ぶりだねマルク。二人とは知り合いだったんだね。
ところで何か用かな?」
「何か用かな? じゃないのサッ!!」
にこやかな顔で挨拶をしたのに、なぜだか怒られてしまった。
「用があるなら明日来いって言うから来たのに、
朝に来たら寝てて呼んでも起きないし、だから昼に来てみたらいないし……!
ほんっとボクを馬鹿にするのもいい加減にして欲しいのサ!」
「それは災難だったね」
「なんで他人事みたいに言ってるのサ!」
物凄い剣幕でまくし立てるマルクを落ち着かせようと私はうんうんと頷き、にっこりと笑った。
「君の言い分は最もだよ。確かに君は散々な目に遭った……。それについては謝るよ、うん!
残念だったね!」
「それのどこが謝ってるって言うのサ!!」
更に怒りがヒートアップしたらしいマルクを見て、私は首を傾げた。
「こんなに誠意を持って謝ってるのに一体何が不満なんだい?」
「誠意の欠片も見当たらないのサ!!」
「あっはっは! 上手い返しだね!」
「は!? 意味がわからないのサ!!」
……と、まあこれ以上はマルクが可哀想なので冗談はここまでにしておこう。
「うん、ごめんね!」
「お、おお……? ま、まあいいのサ……」
「用ってのは?」
「あ! そ、そうなのサ!
それは、」
「待って!!」
「え?」
私は普通に話し始めようとするマルクを慌てて止め、
さっとマルクに近づき真剣な表情を向けた。
「それは二人に聞かれても大丈夫な話なのかい?」
「え……? …………あ……!」
そう言うとマルクは突然はっとした顔をして真っ青になり、危ないところだった、と私とマルクにしか聞こえないような小さな声で呟いた。
背後を少しだけちらりと見ると、メタナイトとカービィが怪訝な顔でこちらを見ている。
「あはは、マルク、君って意外と抜けてるんだね。
私と話せて、嬉しさのあまり二人の存在を忘れるなんてねっ!」
「う、うるさいのサ……!」
にっこり笑ってそう耳打ちすれば、マルクは少し赤くなって私を睨みつけた。
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