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「ちょ、ちょっとちょっと!
これはいったいどういう状況なんだい?」
アミーは突然城から連れ出され、とても困惑していた。
現在三人は、人気の無い日陰になっている草むらに隠れている。
「どうやらデデデ大王はお前とどうしても結婚したいらしい。大王はああなってしまうともう止められない……」
「デデデ大王のことだから、きっとすぐにワドルディにでもアミーを連れてくるように命令するよ!」
「ふーん、可愛いって罪だね」
「言ってる場合か!」
どこか他人事のような返事をするアミーに、メタナイトは呆れた視線を向けた。
アミーはそんなメタナイトを見てはははと愉快そうに笑い、腕組みをしながら言った。
「でもさ、逃げると言っても、
あのデデデ大王から
どうやって逃げるって言うんだい?
この国はあいつのものなんだろ。
君たちだって何をされるかわからないよ」
突然真面目な話をしたアミーにメタナイトとカービィは驚いて顔を見合わせてから、
しばらくアミーを凝視した。
「君たち、私に見惚れてる場合じゃないよ」
「ち、違うよ!」
「よく真顔でそんなことが言えるな……」
「え?」
「え……」
冗談で言った思っていたのにアミーが小首を傾げて不思議そうな顔をしたので、二人はアミーの思考回路は一体どうなっているんだと冷汗を浮かべた。
メタナイトは軽く咳払いをして気を取り直し、本題に戻した。
「アミーを逃がしたことについてはなんとでも言い訳ができる。だがアミー、このまま逃げ続けるのはやはり無理がある……。
言いづらいんだが……星に帰ることはできないか?」
「あー……、あの宇宙船はバッテリー切れでもう動かないから無理だね」
「バッテリー切れだと……!? 換えのものはないのか」
「それが……出発する前に積んだはずなんだけど、なぜかなくなってたんだよ。はっはっは!」
「笑っている場合か!」
「うわあ……メタナイト、アミー、どうするの……?」
三人はこの崖っぷちな状況をどうしようかと俯いて考え込み、
しばらくするとアミーはハッとしたように顔を上げた。
「見つかったよ、隠れる方法が!」
「何!?」
「えっほんと!?」
二人は元気よく頷くアミーを見て、アミーが口を開くのを静かに待った。
「あそこにある森の中! そこに私の宇宙船を持っていっちゃえば、簡単には見つからないだろ!」
二人は絶句した。
「アミー……あんなに大きな宇宙船をどうやって森の中まで運ぶと言うんだ……」
「無謀すぎるよ……」
脱力した声で二人がそう言えば、アミーは頭にハテナマークを浮かべた。
「何言ってるんだい? あんな大きなもの運べるわけないだろ。それくらいわかってるよ」
「えっ? じゃあどうやって……」
「ふふん、そりゃあもちろん、
小さくするのさ!」
二人は再び絶句した。
そして、真面目に考えているときになぜこうもいい加減なことが言えるのかと
少々の怒りさえ覚えた。
「小さく? そんなことは不可能だろう」
「もっと現実的な発想をしてよ……」
「わあ……今私は文明の差を感じたよ。
デビル星より進んでるように見えたけど、そんなにじゃないみたいだね、あはは!」
少し得意気に言うアミーを見て、二人は顔を見合わせた。
「まあ見てみればわかるさ!
二人とも、私の宇宙船はこのまままっすぐ先にあるよ!」
アミーは勢いよく立ち上がり元気よく走り出し、
二人はアミーを追いかけるように慌ててついて行った。
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