終焉 (3/6)
「ん‥‥」
意識が浮上するも心地好い闇から抜け出すことが出来なくて
安寧の闇の全てから感じるその光に私は全てを委ねる
何処かでたゆたっているそんな感じ。
すうっと存在が薄くなるような感覚がするがそれすらも心地好くて‥‥
耳に遠く木霊する音色が懐かしい子守唄と錯覚してしまう。
こんな夢は初めてじゃない。
今日はなんだか意識がはっきりしてて夢遊病を見ている気分‥‥
今までのことも全て夢だったらいいのに。
“んなわけないでしょー。
そんなこと言わずさっさと現実戻る!戻る!!”
え。誰?
“あたしのこと知らないとはいーどきょーじゃない
しるひとぞしるL様と言ったらあたしのことよ!”
‥‥はぁ。
突然、場違いな程やけに明るい知らない女の人の声が聞こえてきて戸惑う。
相変わらず周囲は闇に閉ざされたままだ。‥‥あ、闇が無くなっていく
そして、私の意識はどんどん浮上していった
五感がじわじわ戻ってきて、夏のはずなのに風が強くて肌寒く感じる
身体に力を入れると全身が気怠く、左半身‥‥腕からは鋭利な痛みを感じた
ここまで意識が戻るとさっきの夢の続きは見れそうに無いが‥‥
なんだったのだろう。今の。
「‥‥‥‥。」
薄く目を開けると辺りは闇で、未だ夢の中にいるような錯覚に陥る
仰向けのまま冷たいコンクリートに手を突きのろのろ上半身だけ起き上がらせる
すると、目下に広がる都会特有のネオンの景色に全ての痛覚が一気に覚醒した