両難
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武者震いと言えるものなのか

余りの体の震えに目をきつく瞑る






落ち着けるように静かに深呼吸をするとジッとリナさんを真っ直ぐ見つめた


「リナさん。私も役に立ちたいんです。まだ時間稼ぎが必要なら‥‥」




今は魔族がこの像に気を取られているからいいけれど

アメリアさんの術を一度のチャンスで絶対に当てなけば


不意打ちが出来るならばやるに越したことはない。


私の覚悟が伝わったのかリナさんは静かに頷いてくれた





「ふん。人間とは愚かなものだわね
こんなもの祭り上げたところで何の役にも立たぬものを」

「そうでもないわよ。
あんたの気を引くくらいは出来るみたいだもの」


リナさんは石像の上から魔族へと悠然と姿を現して見せた

挑発するようにゆっくりと話し、魔族の気を引き付ける


「こんな逃げ場のないところに逃げ込むとはどういうつもり?」

「もちろん。あんたを倒すために決まってるわ」


「そーゆうことです。はあっ!!」

リナさんと目が合った合図で身を潜めていた闇から勢いよく飛び出し、抜刀する


「く!何者!」

「補欠メンバーとだけお答えします!」


初太刀を躱されるも直ぐに刃を切り返し相手の腕にカスリ傷をつける

刃は薄緑の光を灯していて、確かにその攻撃は魔族をたじろかせた



「魔剣か!こしゃくな真似を!」

「させない!」



魔力玉らしきものを放とうとした手を柄で叩き軌道をズラす

軌道をずらされた魔力玉は赤の竜神像を破壊した


「今よ!アメリア」

「何!?」




「崩魔陣(フロウ・ブレイク)!」




魔力玉の攻撃を放ったことで完全に隙が出来たところをアメリアさんの力ある言葉が魔族を捉えた

魔族を中心に六芒星が描かれていく


「な‥あ‥‥!?」

「やった!」



「この程度の呪文で‥‥」



バチィ‥‥っ!



完全に六芒星に捉えられた魔族は破ろうとするが結界に阻まれはじかれる


「ば、ばかな!この私が‥‥人間ごときの呪文で!」

「ところがそうじゃないんだなー
さっきあんたも言ってたけど、このセイルーンには聖なる結界がはられているのよ
ましてや、この神殿はその結界の中心部あんたたち魔族の力は弱められ逆にアメリアの使った白魔術は強化される」


リナさんの説明にアメリアさんは横でVサインを決めている



白魔術にこんな活用法があるなんて、本当にリナさんはすごい。

いくら書で知識を集めてもこんな風に活用できる日が私にもくるとは思えないよ



「リオンもやるじゃない!」

「そうですよ!リオンさんが剣術を使えるとは思いませんでしたっ」


「あ、ありがとうございます。」


リナさんのウィンクと共にもらった褒め言葉に初めて役に立てたことが嬉しくて頬が熱くなる


「さて!少し話を聞かせてもらいましょうか!」


改めて魔族に向き直り厳しい口調で問い詰める


内心さっさとゲロっちゃえ!と思いっていた私は相手への認識がまだまだ甘かったことを自覚する





「ふふふ‥‥我々魔族を甘く見るなっ!!」




どごぉおおおおおっ





「うわぁああああああああっ!!」

「きゃあああああああああ!!」



黙って私たちの会話を聞いていた魔族は放出するための力を溜めていたらしい


一気に解放された力は衝撃波を生み





気が付いた時にはその衝撃に飲み込まれ吹き飛ばされていた





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