両難
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「リオン!?」

「こんなところでどうしたんですか!?」


睨みつけた通路から駆け込んで来たのはリナさんにアメリアさんだった

お互い予想外の場所での遭遇に素っ頓狂な声を上げる


「リナさん、アメリアさんも
話し合いは‥‥」

「話は後よリオン。新手の魔族が現れたわ!」


鋭く話を遮られまさか突然の魔族出現の話に目を白黒させる

「アメリア!」

「はい!」


リナさんに名前を呼ばれたことで呪文を唱え始めるアメリアさん。

「アメリアの術が出来るまで時間を稼ぐわよ」

「は、はい」



リナさんに促され通路から石像に隠れるようにして魔族が現れるのを待つ

生きとし生けるものの敵。物理攻撃の効かない精神世界に身を置くもの。

本で得た知識を思い浮かべ震えだす手を何とか抑えようと力を込める


「来るわよ」

リナさんのその言葉に緊張が最高潮になり、息を止めながら通路を見つめた

そこには決して生者と相いれないモノ



ソレが姿を現した


確か、下級の魔族は人の形を取れないんだっけ?

とゆーことはアレはかなり強い部類になるんじゃ‥‥?


「り、リナさん‥‥」

「し!リオン落ち着いて。魔族を見るのは初めてよね」

「その、はずです。」


緊張で掠れた声でなんとか返事する。

魔族相手に効かないとわかっていても柄を握る手に力が入る


「リオン‥‥その剣。魔剣じゃないの?」

「え?」


リナさんの言葉に魔族に釘付けだった視線を刀へ向けると淡く薄緑の光が鞘から漏れている


「魔剣って確か。魔力のこもった特殊な剣ですよね」

「ええ。効果によるけれど魔力が宿っているなら魔族にも効果があるわ」


なら、これで魔族に対抗出来るってこと?

まだロクに呪文を使えない私も魔族と戦うことが出来るの?



「赤の竜神(スィーフィード)か‥‥」



ひそひそと話していれば聞こえてくる魔族の声


気がつけば魔族は石像のすぐ目の前まで来ていた



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