両難
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コンコン




「む?誰じゃ」

暴走するリナさんにゼルさんからの制止が入ったところでドアがノックされた



「兄上!」

「おお!クリストファにアルフレッドではないか!」


扉を開けて入ってきたのはやけに麗しい雰囲気の中年男性。




兄上ということはフィリオネル殿下の弟君‥‥!?


「兄上。ご無事のご帰還このクリストファ心からお喜び申し上げます」

「うむ。立て続く暗殺騒ぎに周りの者達に被害が及んではと、身を隠しておったのだ」

「それでしたらせめて弟の私にだけでも本当のことを仰って下されば‥‥」

「すまぬ。なにしろ事情が事情なだけにな」




遺伝子って本当に謎が多いな‥‥。

手を取り合ってフィリオネルさんの安否を喜ぶ姿に一連の陰謀に関わっている疑いが一番高い位置にいることが信じられないような気持ちになってくる

きょとんと見上げるアメリアさんが可愛いなぁなんてくだらない事を考えちゃったり



「だーがもう安心せい。心強い味方が来てくれた
お主も知っていよう。あのリナ=インバースとその一行じゃ!」

「おお!お主たちが兄を救ってくれたのか!」


紹介に預かり、リナさんに礼を述べるクリストファさん。


若干戸惑い気味なリナさんだったけれど、聖王都セイルーンと言われるだけあって白魔術に特化したお国柄でこういった出来事の対応に弱いことを説明された


「だが、我がセイルーンが黒魔術や武力を蓄え始めては周りの国々を脅かすことになろう
セイルーンは今のままが一番いいのじゃ」

「なるほど、国々の問題も考えないとダメなんですね」

「うむ」

「いざとなればリナさんみたいな人もいますしね」

「そうですね」



それで話が纏まりかけた頃




「そのお力、是非一度拝見させて頂きたいものですね」

「ほえ?」

「控えぬかカンゼル!」

「これはご無礼を‥‥」


突然現れた二人組の男女。

片方は分かりやすく魔道士らしい服装をした男性。少し顔色悪く見えるのが特徴かな

もう一人はナイスバディな美しい容姿のお姉さん。

美人だけど性格が良くなさそうな印象



‥───というより、印象云々じゃなくはっきり言うと初対面の私たちに対して明らかに態度が悪い。



「此方は?」

「申し遅れました。私たちはクリストファ様の元に仕えております宮廷魔道士カンヅェル」

「同じくマゼンダと申します
あの有名なリナ=インバース殿とお会いできるとは」

「以後、お見知りおきを」


そこでリナさんに握手を求めるカンゼルさん。

宮廷魔道士‥‥という肩書きは響き的に元の世界で読んだ物語で凄く憧れるものだったんだけど



現実はそうもいい事もないんだなぁと物腰と言葉遣いだけ丁寧な二人を見て思う


「そう、クリストファさんのところに仕えてるのね」

「あなた様の腕前は魔道士仲間の間に轟いております
是非ともご教授願いたいものですわ。そのお力」

「ご心配にならずともその機会はあると思いますわ
ごく近い内にね‥‥」


その挑戦的な態度を受けて不敵に笑みを浮かべてみせるリナさん

その場に漂う空気を不思議に感じ取ったガウリイさんを少し離れた所から見つめて‥‥




またまたひと波乱起きそうな予感に肩を竦めてみせた






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