霧中
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魔術関連の文献を読んだので練習したい為にゼロスさんに此処へと連れてきてもらったんだ



知識だけならあたしもそれなりに増えてきたはず


なら‥‥暴走しないか試してみるしかない。

誰だって技術が無ければ失敗するんだもん

‥‥主に文献では黒魔術でしか失敗の例無かったけど



とにかく初級な呪文から


「轟風弾(ウインド・ブリット)」


力ある言葉を放てば辺りにに数十もの風の衝撃派が出現し、前方へ放たれた


ばしゅしゅ!



「うわぁ‥‥」

一つの場所へ集中して命中し、地面をえぐる

一撃一撃の威力が弱いからなんとかなったけど、これが殺傷力高い呪文なら‥‥


顔を青くして次の呪文!と気合を入れる


「炎の矢(フレア・アロー)」

「氷結弾(フリーズ・ブリッド)」

「魔風斬(ディム・クロー)」


放つ呪文が悉く辺りを焼野原や氷漬けにしていく




「封気結界呪(ウィンディ・シールド)」


次こそはと詠唱の次に言葉を放てば私の周りに大人しく現れる風の結界


「出来た!?」



ばしゅ!


ゼロスさんが試しにと放った攻撃を周囲に渦巻く結界が弾いて見せた

「初めてまともに成功しました!」

「ええ。お見事です
どうやら防御系の呪文は威力の暴走が無いようですね
それにしても‥‥」

「どうしました?」

「いえ‥‥随分術のレパートリーが増えましたね」

「ああ、文献で調べて使い勝手が良さそうだと思ったものは一通り」


あと、魔族へは精霊魔術は効かないことや、上位魔族の名前、魔王の名前や神の名前などそれらの戦争の歴史をつらつらと上げていってみた


「いやぁ〜驚きました
あの数時間の間にそこまで吸収なさるとは」

「速読記憶タイプなんで本の内容を覚えるのは得意なんです」

それを理解できるかは頭の出来次第なんだけど、なかなかで

そういって笑うとゼロスさんはそれでもと褒めてくれた


そして、試してみたい術No1を今から実践してみたいと言うと一歩下がって見守ってくれる姿勢に移ってくれた


「翔封界(レイ・ウィング)!」

「! リオンさ‥‥っ」

ゼロスさんの焦った声が聞こえたような気がしたけれど既に飛翔した後で確かめることは出来なかった

高速飛行可能な魔術として興味を惹かれたこの呪文

浮遊(レビテーション)はあたしが使えるなかで珍しいまともに発動する呪文の一つだけれど、高速移動は出来ない

どうせならバビュンと飛んでみたいと見つけてかじりついたこの呪文



「は、早い!」

けど、本に書いてあったように上手くコントロール出来ない


兎に角!集中力だけは切らさないようにしないと、術が切れて落ちてしまう

ぎゅるぎゅると高度が下がる程に速度が増していくのを感じる

ちょっと待ってこのままじゃ市街地に突っ込んでしまう!



「ど、どいてくださーい!!」


街の路地を滑走してなんとか人にぶつからない様にするので必死で‥‥っ

と、止まり方がわかりません!!





ゼロスさんが焦った声を掛けたのが今ならわかる気がする

前方にパレードみたいなものが見えて

避けなきゃ!と焦って上昇して

一般人を避けれたと思ったら何かにぶつかって‥‥そこで私の意識が途切れた







◆霧中 −すべては霧の中−


霧におおわれている中。
霧の中。また転じて、手がかりがなく、見通しがつかないことのたとえ。

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