霧中
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「ゼロスさん、あの‥‥」

「はい?」


「此処はそれぞれの部屋に別れるところでは‥‥」

「それじゃあつまらないじゃないですかぁ
せっかくの2人きりですよ?」




存外簡単に見つかった宿屋の一室。

ここも一階は酒場になっているらしく賑やかな声が時折届いてくる



それぞれに部屋を取った私たちは、いや私は部屋で早々に寝てしまおうと自分に与えられた部屋へと向かった。

部屋の前でお疲れ様でしたと挨拶し別れると思ったそこで何故か部屋の中まで付いてくるゼロスさん


2人きりがなんだというんだ。



今日は私のための買い物とはいえ、かなり付き合って街の中を練り歩いた

ご飯も体の休息を摂ってからにしようかと思えるくらいさっさと寝てしまいたいのが正直なところ


いい加減解放して欲しい


眠気でかなり目が座ってしまっているのが自分でわかる

ぐるぐると思考を巡らせながら無言でゼロスさんを見つめ続けるといけしゃあしゃあとこうのたまった

「僕の事は気にせずどーぞおやすみください♪」


何故、そういいながら私より先にベッドの近くを陣取っているのか

流れるような動作で部屋の椅子をベッドに横づけ腰かける彼を尚も無言で見つめ続ける


「さぁ、お気になさらず」

どうしてこんな嫌がらせされているんだろうって事ももう考える頭も無くなってきた


「‥‥わかりました。
おやすみなさい。」


遊び人だか、悪だか知らないけどこんなに堂々と椅子を横付けしてるんだ。


やましいも何もないだろう


いそいそとベッドに上り込み横になる


「あ、あのリオンさん?」

「何か?」

「いえ」


なんだろう
あ、横になった途端‥‥睡魔が‥‥限‥か‥‥





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