霧中
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「わぁ!!すっごく街並みがきれいです!」



先ほどまでの罪悪感は何処へやら。

ゼロスさんに促されるまま観光ガイドを購入し、街を回りだしたところで我慢できずにスイッチが入ってしまった



とりあえず、武具が売っている店が無いか散策する


「魔道具店で探すのもありかもしれませんよ」

「普通の武器と何か違うんですか?」

「ええ。少々変わり種を置いていたり」

例えば風の斬撃をとばせるものも世の中にはあるんだとか

「下町の魔道具店ではそこまでのものはお目にかかれないでしょうけど
リオンさんは何か扱い慣れた武器などは?」

「そうですね‥‥刀とかですかね?」

「カタナ、ですか?」


実際は木刀しか触ったことがないんだけど、ね

でも、ゼルガディスさんが使っているような両刃の剣よりはよっぽど使い慣れてると思う。
リナさんに言ってないのは‥‥実は剣術の心得があるなんて、本物の刃を交えて戦っている人たちに言い辛いことこの上ないわけで



剣道は剣術道場の拾われ娘として、必死になって打ち込んだものだ

実戦経験なんて皆無だからそれでも足手まといには変わりないだろうけど、持っていないよりはマシかもしれない。


「片刃の細身の刀身に先端が反り返った剣なんです」

「ふむ、ここより市場へと移動しましょうか」

どうやらただの武具店より、そちらの方が変わったものが売られていることが多いらしい







「あ!」


たまたま前を通りがかった武具店にちらりと独特の柄らしきものが見えた

店内へ思わず飛び入り確認させてもらう


マニアックな商品だからか、私が見せてくださいと詰め寄ると少し引き気味にこくこくと頷いてくれた


私ってかなり幸運かもしれない。

見た感じ錆刀というわけでもない
ここは異世界、本当に奇跡に近いかも。


「これが刀です!ゼロスさん」

「ほぉ?かなり珍しいものですね。」

あとからゆっくりと店内へ付いて来てくれたゼロスさんに両手で抱えた刀を見せる

「ちょっと失礼しますね。刀身を見せてください」


そう店主に確認をとり鞘から抜く

ずしりとした重み‥‥一度養父さんに握らせてもらったことがある。


あの、重みだ。


鉄の重さ、人を斬れるモノ



思わずゴクリと唾を飲み込む


綺麗な刀身だった。透き通るように反射する
刀身に映る自身の目と目があった


「ゼロスさん。私、これにします。」




正直、武器を持つこと自体に抵抗があったのも事実だ。

だけれど、ここは平和な日本じゃない

そう、もう私のいた世界の常識は通用しないんだ


散策しながら武器を探すことに後ろめたそうにしていた様子を見ていたゼロスさんは私の言葉に満足そうに頷いてくれた





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