余徳
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もう死ぬ。ダメ。湖上は逃げ場がない


‥‥というよりさっき死ななかったのが奇跡に近いよ。うん。




魔法を受けても平気そうなガウリイさん達といい。
この世界の人々は何か不思議な加護でもかかっているのだろうかと思えるほどに丈夫。

私もなんだか丈夫になってきているような気がする。



船はかなりの損傷を浴びたらしく、私たちはみな一様に船から投げ出され湖の岸へと打ち上げられていた。


私は幸運にも少し離れた岸で打ち上げられていた事と、皆さんより先に岸に上がれたことでそそくさと森の中へと避難してきた訳で。




ドラゴンを捕えるなんて一般人(あくまで主張)には荷が重すぎます。






「ふあー‥‥。」

にしても、眠い。

昨日色々考えすぎて寝つけなかった事と早朝からの船のハリボテ制作で、かなーりの睡魔が来ている。


「大きなお口ですねぇ♪」

「!?」


今の欠伸見られていた!?

あまりの恥ずかしさに睡魔も吹っ飛んでギッと頭上を見上げると昨夜と同じく木の上に余裕綽々な様子のゼロスさん。



「い、今の見てたんですかぁ‥‥?」

「ええ♪もちろんです。」


趣味が悪いというか、間が悪いというか。
見ててもスルーして欲しいところをズバッと。

あーもう!たまにこうやって意地悪いですよね。ゼロスさんは。


「‥‥そこはツッコまないで下さいよ‥‥これでも乙女なんですから」

素直に弱音を零せはゼロスさんはフフッと笑って見せた。


「すみません。見事な欠伸でしたから、つい」

「もう。見世物じゃないんですから。」



見世物と言えば‥‥。


「そこからリナさん達の様子が見れるんですか?」

「ええ、湖を一望できますよ」


そそくさと逃げてきたはいいけど‥‥ここまで巻き込まれた事の顛末はやはり気になるもので。

でも、木登りなんて小さい頃以来したことがないからちょっと自信が無い。




こんな時リナさんの様に飛ぶことが出来ればと考えて、昨夜の魔法講座での出来事を思い出した。


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