余徳
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一通りの説明を受けて実技に入る。





「今回は光の魔法。明り(ライティング)を習得しましょう」


ゼロスさんの言葉にうしっ!と気合いを入れる。

「まずは僕を見ていて下さい。」

そういうと彼は呪文を詠唱していき、最後に力ある言葉を放った。



「明り(ライティング)。」

ゼロスさんの手の内に薄暗かった空間をふわあっと明るくする光球が出現する。



「うわぁ‥‥っ」

思わず感嘆の声を上げた


「魔法には精神の集中が必要不可欠です。
先ほど教えたことを実践しつつ呪文を唱えてください。」

「はい!先生!!」


集中するにはイメージ。それが大切だと教わった。
ゼロスさんの生み出した光球を脳裡に浮かべる




光‥‥温かい光。灯火。辺りを照らすもの。

そして私は教えられた呪文を紡ぎ始めた。



── 火より生れし輝く光よ 我が手に集いて力となれ ──



「明り(ライティング)!」




力ある言葉を放った瞬間自分でも目を開けられない程の煌々とした眩い光が辺りを包みこんだ。

「きゃあああああああっ!」


反射で思いっきり目をつむる。それでも視界が明るい‥‥っ!

しかも一瞬で消えるかと思ったらしばらくその光が消えそうに無い。
ちょっとコレどういうこと!?


「ちょっと何よ!今の光は!!」

やっと光が消えて辺りに暗闇が戻ってきた頃私は尻もちをついて茫然としていた。
聞こえてきた声にそろそろと視線を動かす。


「リナさん‥‥」

「リオン!?それにゼロス‥‥」


すでに夜も更けてかなり経つ、寝ていた所を起こしてしまったんじゃないかと申し訳なく思う

「いやあ‥‥正直僕も驚きました。
彼女がここまでの魔力を持っているとは」

リナさんに続いてゼルガディスさん、眠たそうな目を擦りながらアメリアさんが姿を現す


「まさか今の光、明り(ライティング)か!?」

「よく、わからないです‥‥。
ただ柔らかい光をイメージして呪文を唱えたら」

「持続時間はゼロじゃなかったわよね」

「これ‥‥おかしいですよね。
あれだけ明るかったら持続時間ゼロのはずなのに」

「そうね‥‥。リオン兎に角今日はもう休むわよ。」

「はい‥‥。」




こうしてよくわからないまま、今日の魔術抗議は終わってしまった。
何故、あんな明りが出せたのかはわからない。

ただ、私がただの女子高生という自覚は脆くも崩れ去ってしまうんじゃないかって‥‥
私の常識というのが尽く通用しない事態になりそうで‥‥すごく怖かった。

ただでも、普通では渡ることは出来ないと言われている世界。




それだけで不安は消えないのに、すでにこの世の理を崩してしまっているんじゃないかって


言いも得ない不安が胸を黒く塗りつぶした。


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