殷賑
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「長閑なもんよねぇ」



ゼルガディスさんを沈めてから暫く


あぁ‥‥平和だ‥‥


リナさんたちは相変わらずお茶を啜って

私はうつらうつらと眠気に迫られていた。





天候はよし。風も気持ちいい。
船の揺らぎが心地よくて‥‥

こんな中眠たくならない方がおかしい。


「‥‥‥‥。」

すうっと意識が闇に落ちる刹那。





ばしゃああああああああんっ



「「いやぁああああああああっ!!」」

「うおあああああああああああっ!!」



激しい水飛沫にリナさん達の悲鳴が行き交う


私の意識は急遽現実に引き戻された



「な‥‥っ!何があったの!?」


あぁ‥‥至福の平和な一時が‥‥!!

兎にも角にもまずイマイチ状況が飲み込めない。


船の近くには巨大な渦が出来ていてこのまま流されていては確実に飲み込まれていく。


「どでかいドラゴンが出てきたんだ!」

「あ‥‥お出でになったんですか」


獲物がやっと出てきたらしい。
うん。状況が飲み込めた。

傍らでは何やらリナさんとアシュフォードさんが揉めている。



「リナさん、リナさん。
揉めるより先にこの状況を打開しましょうよ」

「何であんたっ そんなにも落ち着いてんのよ!
少しは慌てろっ」

「そういわれちゃいましても‥‥」


今、焦ったどころで仕方無いし。

基本状況さえわかれば動じない性質なんですよね。


「あぁ‥‥なんでだかリオンと話してるとどうにかなるように思えてきたわ‥‥」

「リナ!今はどーにかならないんじゃないのか!?」

「そうかもね‥‥って
いやぁああああああああああっ!!」

「うぉああああああああああっ!!」



そのドラゴンが作りだしたらしい渦の中心へと素直にどんどん飲み込まれていく






「この船‥‥“まだ”沈みませんよね?」



ゼルガディスさんの安否も心配だなぁ‥‥なんて暢気に考えている内に私の意識はフェードアウトしていった。







◆殷賑 −大変だけど幸せです−


活気があってにぎやかなこと。
また、そのさま。 繁華。



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