殷賑
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あぁ、頭痛がしてきた。



「よーしここいらに網を張る。錨を降ろせ―っ」


あれ?この船で見かけた覚えないけど

アシュフォードさんの掛け声に反応してあたりを見渡すけれど、やはり辺りにそんなモノは見当たらない。


それらしきものすらない。


「「「「「そんなものありませーん」」」」」


一緒にキョロキョロしていたリナさん達と声を揃えて言い返すとアシュフォードさんは先ほどの威勢はどこへやら‥‥冷汗を浮かべながらにこう言った

「し、しまった‥‥
対ドラゴン用武器ばかりでそのことすっかり忘れとった」



苦笑しながらにあっけらかんと言ってのける。

おいおいおいおい。

どーするんですかそれで


「大丈夫なのか?おい‥‥」

「大丈夫じゃないでしょうよ」

「だよな‥‥」

口々に洩れる不安の声


「しゃーない。
錨の代わりになるものは‥‥っと
あ‥‥ゼル、あんた体重どんぐらい?」

「何故俺に聞く」

明らかに良からぬことを考えている顔のリナさん。
まさか‥‥

「はと!」

はとってなんですか。はとって。



白羽の矢が刺さったご本人。
ゼルガディスさんもリナさんの思惑に気づいたのか必死に抵抗を始める。

旅の道中聞いたゼルガディスさんがリナさんと旅を共にする理由。
石の体にされてしまった自分の体を元に戻すため
即ち、ゼルガディスさんの体重は石に相当するわけで。


「ちょと‥‥まて!
い、いくら何でもそんな‥‥よせ!」

リナさんはすでに取り押さえにかかっており必死の抵抗を尚続けるゼルガディスさん。

「アメリア!なんとか言ってくれ!」

「可哀相なゼルガディスさん‥‥
せめて息だけは出来るようにしてあげますからね」



アメリアさん‥‥それも酷です。


うりゅうりゅさせながらに問答無用にゼルガディスさんの口にホースを突っ込み、彼の姿は湖の底に消えた。


ゼルガディスさん。哀れすぎます。

湖の上にひょっこり出ているじょうごが尚更切ない。




「ゼールー!動いちゃだめよ。
あんた錨なんですからねー!」

「リナさん虚しく浮かぶじょうごに向けて叫ぶのもどうかと思います‥‥」

「まーいいじゃないの」


気を取り直してとも言いたげにアメリアさんとお茶の準備を始める

うーん‥‥リナさん達らしいっちゃらしいよね。


「おまえさんもだんだん馴染んできたなぁ」

「そうですかね?ガウリイさん」

「普通あれは止めに入るところだぞ?」


世間一般ならそうかもしれないけど‥‥此処はリナさん御一行だし。

「ああ、それもそうだな」

私の言い分に簡単に納得してくれた。



納得しちゃう、ガウリイさんもガウリイさんだと思うんだけどなぁ



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