契機 (5/5)
「リオン。あんたがこの世界の人間じゃないことはよーくわかったわ。」
「リナさん‥‥」
「どう?あたしらと一緒に来てみる?」
しばらく、問われるままに私の世界の話をした後リナさんはそう切り出した
それは願ってもない話で‥‥
「いいんですか‥‥?私一般人ですよ?
魔法とか使えないし‥‥」
茫然と彼女を見上げると照れくさいのか頬をポリポリとかきながら視線を外してぶっきらぼうに言った
「あーもう!そんなの気にしない!乗り掛かった船よっ
それに‥‥ただの人間が異世界を渡れるなんてどうにも気になるのよね‥‥」
「それは僕も賛同します。ただの人間にはとても出来ることではありません」
「リオン!その代わり、何か出来ることがあったらバンバン役に立ってもらうからね!」
ウインクしながらにかけられた力強い言葉に私の不安は強い光にあてられたようにフッと消え去っていった
「‥‥よろしくおねがいします!!」
その好意に涙ぐむのを我慢して私は深々と頭を下げたのであった。
◆契機 −いい日旅立ち−
きっかけ。動機。
新たなる私の旅の始まり。