契機
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そんな違和感を素直にぶつけてみることにする

「ゼロスさん達は‥‥5人一緒にずっと旅を続けているんですか?」

「いいえ。
彼女たち4人は行動を共にしているようですが、僕は目的地が一緒なので同行しているだけです。」

「そうなんですか‥‥
あの‥‥ゼロスさんは神官様なんですよね‥‥?
普段はどんな事をしているんですか?」

「いやあ‥‥しがない中間管理職なんで上の方の命に駆け回っているだけですよ?」

「‥‥リナさんとはその道中、偶然知り合ったんですか?」

「それは‥‥」

私がそう問いかけた途端

ゼロスさんの口元に更なる深い笑みが浮かび上がった

その途端、背筋に這い上がってくる悪寒
やっぱりだ。この人怖い‥‥!!


勢いで込み入ったことを聞き過ぎてしまったかな‥‥キレられたりしたら怖すぎる

焦らすゼロスさんの言葉を内心びくびくしながら固唾を飲んで待つ。


「それは、秘密ですV」


「へ‥‥?」

人差し指を口元にあて茶目っ気満載に誤魔化されたことで突然の肩透かしに面食らう

ぽかーんと口を閉じれないまま、間抜けな顔で彼を見上げると心底楽しそうにこちらを眺めていた

ちょっと待って。何さっきの緊張感は。あれはなんだったの。


「‥‥なんかすごく納得いかないんですけど」

少しむすっとしながらに抗議の声をかけると「偶然同じものを探していただけですよ」と答えが返ってきた


その時にスゥと開けられた目に、瞳に私は釘付けになった

アメジストのような‥‥紫色の妖光を放つ瞳

まるで、最期を覚悟した時の満月のような

不気味なほど綺麗でとてつもなく魅せられる‥‥


それと同時に先ほどとは比べ物にならない程背筋を迸る悪寒

逃げたい‥‥あの瞳から

釘づけになる視線をぎゅっと閉じてなんとか外し、必死に話題を変えようと違う質問を投げかけた


「この世界には魔族とか‥‥、そんなモノがいるんですか?」

「ええ。エルフや竜属など様々な種族が存在します。」

「‥‥。私の傷がすぐに完治したのも何か理由が?」

「アメリアさんが魔法をかけましたよ」



魔法で重症だっただろう傷を跡形も残さず‥‥。





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