契機
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「ごちそうさまでした‥‥」

カチャリと音を立てながらスプーンとお皿をトレイに置く
がっついたみたいで少し恥ずかしくて‥‥ちらりと神官服に身を包む彼に視線を向けると興味深そうにこちらを見つめていた。

いや、相変わらずのニコニコ細目でこちらに顔を向けていると言ったほうが正しいのだけれど
それでも確実に感じる視線‥‥見られているどころか凝視されてる?


内心焦りながらも、恐る恐る目を合わせる(?)と突然「リオンさん」と名前を呼ばれた。

「異世界では何をなさっていたのですか?」

その問いの意図がよくわからなくて、きょときょとと数回瞬きを繰り返した。

思ったより興味を持たれているのか
そうだよね、不審な女が異世界から来たなんて、どんな世界でも変な奴に思われるに決まってる


「‥‥普通に、生活してました。
学校に行って、友達がいて、部活動に励んで」

「学校ですか?」

「こちらの世界では珍しいんですか?
私の世界、私が暮らしていた国では義務教育といって15歳まで必ず教育を受けなければいけませんでした。
私は義務教育を既に終えていましたが、高等学校という所に通っていました。
すごく平和だったんです。私の住んでいた世の中は」


と言っても‥‥私の周りは危険と隣り合わせな事態ばかり舞い込んできたのだけれど


「ほう‥‥?では魔族に生活を脅かされたりは」

「魔族、ですか?
ありませんでした。‥‥伝承で悪魔などは存在したとの記述は残っているみたいですけど、それも事実かすら
神への信仰心は現代でも世界各国趣向は違うけれど根強く残っていますが」

「興味深いですね」

ニンマリと笑みを濃くする彼に何か得体のしれない恐怖が背筋を一瞬なぞる。

すこし慌てて私からこの世界の事や彼らの事を聞いてみることにした。


まず、気になったのはゼロスさんの立ち位置。

出会った瞬間胸の奥がざわついたのも気になるけども、どうもリナさんたちは彼と一線を引こうとしているような‥‥

そんな違和感を感じてならなかった。



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