邂逅 (6/6)
「ガウリイ=ガブリエフだ。よろしくなリオン」
再び差し出された握手に応える。人の良さそうな人だなぁと長身を見上げた。うん、背が高い。
「アメリア=ウィル=テスラ=セイルーンです!」
少し胸を張りながら名乗ったつやつやしい黒髪の美少女を首をかしげながら見やる
この人も何かで有名な人なのだろうか。
「ええ!?セイルーンを知らないんですか?」
途端にがっかりしたような顔をする
セイルーンって確かさっき黒尽くめの彼が言っていた名前じゃ‥‥
地名っぽかったし。私が詳しくないと言えば‥‥
「どこかの遺跡か遺産ですか?」
あたりが一斉にずごっとずっこける。
そんなボケたつもりは無かったんだけど‥‥
黒尽くめの彼を見やれば少し困った顔でぽりぽりと頬をかいていた
「セイルーンを遺産にしてどうするっ!」
「まさか聖王都セイルーンをご存じにないとは‥‥」
「あんたはいったいどんな世間知らずよ!!」
「そう言われましても‥‥」
「頭打って記憶喪失とか変な人体実験で記憶改ざんされちゃったんじゃないのっ!?」
すでに散々言われているのは気のせいだろうか
もうこうなっちゃ思い切って聞いてみるしかないのかな
「すみません。この世界に日本という国はありませんか?」
聞いてみると一同口々に知らないという回答が返ってきた。
これはますます私の予想が確信めいてきちゃったかもしれない‥‥
黙りこくって考え始めた私に頬の筋肉をひくひくさせてリナさんは言った。
「あんたまさか‥‥異世界から来ましたとか言うんじゃないでしょーね?」
「‥‥そのまさかなら信じたくありません。」
ええ。本当に、信じたくなんかないよ。こんなの。
◆邂逅 −ある日出会いは突然に−
思いがけなく出あうこと。
偶然の出あい。
めぐりあい。