番外編 | ナノ


*新たな命




「いやぁ〜おめでとう、鬼灯君、琴音ちゃん。」

「ありがとうございます。」

『ありがとうございます、閻魔様。』


1週間後、退院した琴音と子供を連れ、鬼灯は子供が生まれたことを報告するため、閻魔殿にやって来た。


「ねぇ、わしにも抱っこさせてくれる?」

『はい、もちろんです。』

「仕方ないですねぇ…」


そう言うと、鬼灯は女の子の方を閻魔大王に渡した。


「かわいいねぇ〜!」

「はい、終了です。」


そう言うと、鬼灯はさっさと女の子をとりあげた。


「えぇ〜!?ひどいなぁ〜。」

「はい、次は息子です。」


そう言うと、鬼灯は今度は男の子を渡した。


「こっちの子は男の子なの?」

『はい、弟です。』

「へぇ〜こっちの子もかわいいねぇ〜!!」

「はい、終了です。」


そう言うと、鬼灯は再び赤ちゃんを素早くとりあげた。


「もう〜早いなぁ。」

「もう十分でしょう。」

「あ、そうだ。2人の名前は?」

『女の子が萌衣梨(めいり)、男の子が優杜希(ゆずき)と言います。』

「へぇ〜綺麗な名前だねぇ。」

『ふふ、ありがとうございます。』


そんな話をしていると、閻魔殿の扉が開いた。


そちらに視線を移すと――


「あら?鬼灯様に、琴音様。」

「ほんとだ!」

「こんにちは。」

「こんにちは〜!」


お香、シロ、ルリオ、柿助がやって来た。


「お香さん。それにシロさんたちも。」

『みなさん、こんにちは。』


琴音がにっこりと笑うと、お香たちはこちらに歩み寄ってきた。


「まぁ。可愛らしいわねぇ。この子たちがお二人の?」

「はい。」

『男女の双子なんです。』

「あら。そうなのねぇ。」

「なになに!?オレたちにも見せて!」


シロの言葉に、鬼灯と琴音がしゃがむと、三匹は双子の顔を覗き込んだ。


「わぁ…!鬼の赤ちゃん?」

『はい。私と鬼灯様の子です。』

「お子さん、生まれたんですね。」

「おめでとうございます〜!」

「ありがとうございます。」

『ありがとうございます。』


幸せそうな2人にお香と閻魔大王は笑みを浮かべる。


「もしよかったら、抱っこさせてもらってもいいですか?」

『はい、もちろんです。』


琴音の言葉にお香は"ありがとうございます"と言うと、赤ちゃんを受け取った。


「まぁ…温かくて、柔らかいわねぇ。」

『ふふっ、そうなんですよね〜。』

「男の子も抱っこしますか?」

「えぇ、ぜひ。」


お香は琴音に萌衣梨を渡すと、今度は優杜希を受け取った。


「ふふっ、鬼灯様の小さい頃に似てるわ。」

『そうなんですか?』

「えぇ。」


楽しげに笑うお香に鬼灯は"そうですかねぇ"と呟いた。


「お名前は?」

『こっちの子が萌衣梨、そっちの子が優杜希です。』

「素敵な名前ねぇ。」

『ありがとうございます。』


すると、再び扉が開き、唐瓜と茄子が顔を出した。


「あ!ほんとにいらっしゃった!」


茄子はそう言うと、唐瓜の腕を引っ張り、こちらに走り寄ってきた。


「茄子さん。唐瓜さん。」

「鬼灯様と琴音様の子、生まれたんですね!」

『はい。この子達です。』

「わぁ〜!可愛いですね〜!」


するとまた扉が開き、他の獄卒たちも2人の子供の誕生を祝いにやって来た。


「「「おめでとうございます!鬼灯様、琴音様。」」」

「ありがとうございます。」

『ありがとうございます。』

「うわ〜可愛いですねぇ!」

「琴音様に似ていらっしゃいますねぇ。」

「こちらの子は鬼灯様に似ていらっしゃるぞ。」


そんな話をしながら、双子を優しく見つめる獄卒たちに琴音は、"近くで見てあげてください"と微笑む。


そんな妻の嬉しそうな笑顔と、獄卒たちからの祝いの言葉に鬼灯はじんわりと温かいものが胸に広がるのを感じた。


(こんなにも祝福されて…この子たちと私たち夫婦は幸せ者ですね…。)


心の中で呟くと、鬼灯は僅かに表情を緩めたのだった。



END

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(3/5)


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