『もしもし』
「おう」
『あれ仗助。どうかした?』
「オメーさ、今暇か?」
『今?暇、だけど』
「今億泰と康一たち集めて遊ぼうって話してるんだけどよ、お前来られるか?」
『うん、行きたい!みんなで遊ぶのなんてホント久しぶりじゃない』
「試験があったもんなァ〜。……ン、康一と由花子も来られるって?おう、わかった」
『二人も来られるのね?』
「みたいだな。億泰が康一に電話してるんだけどよー、やっぱりあいつら一緒にいたぜ」
『ありゃ。デートの邪魔になっちゃったね』
「ま、今回は由花子だって許すだろーよ」
『由花子、機嫌悪くしてなければいいけど。場所は?』
「カフェドゥ・マゴ。…あ、でもお前はまだ家出るなよ。俺が…その、迎えに行く、から」
『仗助が来るの?』
「わ、悪ィかよ!」
『あははっ、冗談よ、そんなわけないじゃない』
「ったく…」
『じゃあ、待ってるから!』
「ああ、わかった」


またね、と言って電話は切られた。俺は安堵の溜め息をついて電源ボタンを押し携帯をポケットへとしまう。気付けば掌がじんわりと熱を帯びていた。やべー、情けねえな俺!

「待ってるから」。その言葉が頭にリフレインしては頬が緩む。でもアイツは、俺が迎えに行くことについて特別深い意味を持たずに受け取ったんじゃあねえかなー。俺としては少しでも多く、二人きりの時間を作りたいんだけど。(みんなと合流しちまえば、絶対ェ誰かに邪魔される。例えば億泰とか億泰とか)

信号待ちで足を止めれば、楽しそうに支度をするアイツの姿が目に浮かぶ。ああ、最近買ったって話してた香水、使ってそうだな。由花子に選んでもらったとか言ってたっけ。でも香水なんか使わなくったって、いーニオイするんだから別にいいのによォ。俺はアイツの匂いっつーか、好きだし……って何考えてんだ俺!

歩きながら櫛を取り出し、自慢の髪型を整えて。学ランも汚れていないかチェックして。よし、これで大丈夫だ!…しっかし今の俺って恋するオトメみてーじゃあねーか?いや男だから乙女じゃねえけどよ。
俺をここまでさせる、アイツの存在ってのは本当にデケーんだよなァ。

アイツが俺の事をどういう対象で見てるとか、好きだとか嫌いだとか、友情とか愛情とか。悩むことは多いけど、とりあえずアイツが笑ってるとこ見られりゃあそれでいっか。

そんな感じで通り過ぎていく見慣れた道。ああ、顔を見るのが待ち遠しいぜ!


駆け抜ける通学路


「…もしもし、夢子?ああ、もうすぐ着く」

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実は女の子もどきどきしてたらいい。(090131)
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