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グラって視界が揺れて、わたしの上には真剣な顔のツヨシ。


両腕を握られてしっかりとわたしの上に身体を乗せているツヨシ。




「バカ言うな」




一言答えたツヨシの掠れた声に、キュンってする。




「バカってなによ？」


「いいのかよ、もう」


「なにが？」


「和也さんのこと…好きなんだろ、お前は」




沙和もミツルくんも、そしてツヨシもずっと言わなかった和也くんのこと。


わたしに気を使って何も言わずにいてくれているのは分かっていた。




最初は確かにショックだった。


完全に和也くんを怒らせて嫌われたわたしは、和也くんを好きでいる資格さえもない気がして。


和也くんのことはあくまでキッカケで…




「ツヨシのことが好きだよ」


「………」


「好きじゃなきゃデートなんかしないし、こんな所も二人で入らないよ」


「…ユカリ」


「何にもされないから、ツヨシは責任感じて傍にいてくれるだけだって思っちゃう」


「…マジか？」




驚いた顔を見せるツヨシは、全くわたしの気持ちに気づいていなかったようで、既に頬が緩んでいる。


超至近距離で鼻と鼻がくっついてしまいそうな距離でわたしを見下ろすツヨシは、きっと顔が赤くなっていると思う。


見上げるわたしも、顔だけに留まらず、全身熱くなっていて、早く触れて欲しいなんて思ってしまう。




「もう遠慮しないでいいよ」


「…しねぇ…」




そう嬉しそうに言ったツヨシが、近すぎるその距離を埋めた…―――