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「そういえばツヨシは?今日来ないの?」




花火まではまだ時間があった為、わたし達は三人で出店を見ながら歩いていた。


和也くん達はまだあの溜まり場には来ていないみたいで、既に溜まっているoneの面子の前を通る時、わたしも混ざって頭を下げた。


ミツルくんは話しかけられてそっちに呼ばれたので、わたしと沙和は、少しだけ離れた場所で二人でカキ氷を食べながら休憩している。


気づいていなかったわけではないけれど、一緒に行くはずのツヨシの姿がまだ見えない。


待ち合わせ時間をとうに越えているっていうのに、一体どうしたんだろうか?




「なんか急用入ったみたいで、でも戻ってくるって言ってたよ?ユカリの浴衣姿を見ないなんてそんな勿体無いことツヨシがすると思う?」




頬をチョンって突っつく沙和は、そうやってよくツヨシの話題でわたしをからかうから、毎回毎回冗談に受け止めるだけで。


でも、ツヨシの存在がわたしの中で大きくなっているのは確かなこと。


それは友達として…というか、親友って言った方が近いのかもしれない。


勿論女の親友は沙和だって思っている。


それ以外にも、男女の友情は成り立つもんだと思っているし、わたしはツヨシを男で一番の友達だって思っているんだ。




「…はいはい。これ捨ててくるね〜」




沙和の言葉を軽く交わして、わたしは殻になったかき氷の入れ物を近くにあったゴミ箱にポイっと投げ捨てた。





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