■ A




夏休み。

この地域じゃ一番大きな花火大会。

去年までは、女友達と当たり前に行っていた。

それでも、神社付近に溜まっているoneの面子の前を通り過ぎる時は物凄い緊張して、そこにいる和也くんの姿を見つけると、テンションがあがったのをよく覚えている。



今年は…


沙和との待ち合わせまでにまだ時間はある。

わたしは、お財布と携帯を手に、近所にある薬局へと入って行った。

物色しているのは、カラーリングの液。


どうしても、近付きたい。

和也くんにわたしを見て貰いたい…


そんな気持ちが溢れて止まらないんだ。




「行ってきま―す」




和也くんに選んで貰った浴衣を着て、わたしは長い髪を半分だけ降ろして、半分だけ上げて、綺麗な髪飾りで止めた。


浴衣とお揃いの紺色の巾着をクルクル回して待ち合わせの場所へと歩いて行く。


しばらく歩くと、ツヨシらしき後ろ姿が目に入った。


でも全力疾走でいなくなってしまって、結局ツヨシなのか、別人だったのかは分からなかった。


そうして歩いていくと、待ち合わせ場所に沙和とミツルくんの姿を見つける。






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