■ B



猫目な彼女は、総長友樹の恋人である奈々とはまた違う魅力を持っていて。

奈々は誰が見ても羨むような美人だけれど、ゆきみはそう…愛嬌といえばいいのだろうか…。

いつでも楽しそうに笑っている彼女を見ていると、誰でも癒されてしまうような、でも危なっかしくて目が離せないような、そんな感じがした。


でも、初めて目が合ったわたしは、ドキっとするような胸の高鳴りを感じて、思った通り、目が離せない。


ほんの一瞬目を細めた彼女は、すぐにわたしから目を逸らして和也くんの腕を解く。





「ほら和也、みんな見てるよ」


「関係ねぇよ、誰に見られようが」


「わたしが恥ずかしいって」


「はは、オレゆきみの言うことには逆らえねぇわ」





そう笑って和也くんはゆきみの髪を一撫ですると、ゆきみの腕を引いて、学食へと歩いて行く。


と同時に鳴り響く、四時間目終了のチャイム。


教室の中のみんながそれぞれお昼の支度を始めた。





「ユカリ、お昼どうする?」


「あ、うん。学食行きたい」


「オッケー! んじゃ彼氏呼んでくる」


「うん、お願い」





この高校には【one】に所属している人がいっぱいいる。


基本的に女子は入れないらしいけれど、oneに入っている男の恋人は、カレ等のたまり場でもある青倉庫に出入りすることが許されるようになったらしい。


同じクラスである、沙和(サワ)の彼氏のミツルくんは、oneに所属している。


一年のわたし達がこの悪校で学食に行くことなんて許されない。


けれど、そこにoneのチームメイトが入っていれば話は変わってくる。


どうしても和也くんを追っていたいわたしは、沙和にお願いして、いつも学食に連れて行って貰っている。





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