■ G
見える景色がどんどん変わっていく。
世界は夜にのまれているというのに、わたしから見える景色はどこも色づいて見える。
和也くんの背中は思った以上に大きくて、その身体もわたしとは全然違う男の人って感じ。
骨ばった身体に巻き付いているなんて、信じられなかった。
どうしようもなくドキドキして、この鼓動が和也くんにも伝わってしまっているかもしれない…
そんなバカなことを思ってしまう。
気づいたら、見覚えのある景色が映っていた。
ゆっくりとバイクは青い倉庫に到着する。
まだあまり人が帰ってきていないらしく、カランとしていた。
「降りろ」
ど低い声がして、わたしはバイクから降りた。
ふう〜…って和也くん、下を向いて息を吐き出すと、ポケットを探って煙草を取り出した。
「あの、ありがとうございました」
わたしがそう言って頭をさげると、和也くんは逸らしていた視線をこちらに向けてくれる。
「大丈夫か?」
怒られると思っていたわたしは、その優しい声色に拍子抜けしてしまう。
ツヨシの言葉を聞かずに和也くんについて行ったわたしが悪いのに、それなのにそんな優しい言葉をくれるなんて、思ってもみなくて…