■ A



「和也さんの方だとまた危ねぇかもしんねぇぞ?」


「…うん…」




暴走前にお決まりのツヨシの言葉。


小さな暴走の時はないけれど、今日みたいな大型暴走の日は、二手に別れる。


どうしてか?和也くんは危険な道ばかりを選ぶみたいで…


何がどう危険なのか?なんて残念ながらわたしには分からないのだけれど、それでもやっぱりわたしは和也くんの方に行きたい。


でもあんな風に物置に閉じ込められたり、わたしのせいでツヨシを喧嘩させることは避けたいとは思っている。




「分かったって。そんな顔すんなよな」




ポスっとツヨシの手がわたしの頭を撫でて、そのまま肩に落ちる。


わたしの耳元で囁くツヨシの声はほんの少し高め。




「髪勿体ねぇな…」




スッと緩く編みこまれたわたしの髪を撫でてツヨシの手が離れた。


…意識しているわけじゃないけど、こういう行動はドキっとしちゃうからやめてほしい。


それともツヨシはそんなわたしを見て楽しんでる?


むしろ、からかってる?


そんなわけないか…。






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