■ D



目の前に座る沙和が笑いを噛み締めていることにすら恥ずかしさが増して…




「ユカリ真っ赤だぞ」




ミツルくんに決定打を打たれた。




「お前ほんとほっとけねぇな」




ツヨシの大きな手がわたしの頭をポンポンっとする。

何かよく分からないドキドキがわたしの心臓を締め付けていて…




「ユカリはツヨシに愛されてんね〜」




KYなソプラノボイスが飛んできた。


ゆきみの一声(ひとこえ)はいっせいにみんなの視線を釘付けにするわけで、ドリンクバーのコーラを飲みながら和也くんの視線も飛んでくる…




「お似合いだなぁ」




そんな奈々の言葉に「俺と奈々のことか?」なんて友樹の声に、また視線がそっちに移った。


ホッとしたものの、和也くんの視線はまだわたしを見ていて…



え、なに?


有り得ない速さで心臓がバクバク高鳴っていく。




「どっちが告ったの?」




再びKYなソプラノボイスに視線が集まって、そんな馴れ初めの台本は貰ってません!なんてことが言えるわけもなく…








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