■ D
「合ってんじゃねぇの?」
「えっ?」
「ツヨシが持ってる奴のが、お前には」
…あの自販機の時以来の、和也くんの声に胸が熱くなる。
ちゃんとわたしと話してくれたってことが嬉しくて…
「わっ、わたしっ、これにしますっ!」
ツヨシが手にしていた紺色金魚柄の浴衣を嬉しそうに持つと、顔が緩んだ。
そんなわたし達を見ていた友樹、「ふ〜ん」って笑うと、ツヨシとミツルくんを交互に見た。
なんだろう?って思ったその次の瞬間…
「お前らも飯一緒に行くか?」
そんな言葉が飛んできた。
「え、マジっすか?」
そんな嬉しそうな声を出したのは、ミツルくんで、隣の沙和は少しだけ複雑な表情を浮かべている。
きっと、わたしのこと心配してくれているんだって。
「ユカリ?」
「うん?」
「お前どうする?」
小さく聞いてくるツヨシは、わたしの耳元で呟いているから、いつも以上に顔が近くて、その距離にドキっとしてしまうものの、わたしは和也くんと一緒にご飯が食べれるかも?って思うと、緩んだ頬が戻らない。